自己修復塗料

自己修復塗料とは

自己修復塗料とは、表面に発生した微細な傷やひび割れを自ら修復する機能を持つ塗料です。

マイクロカプセルや架橋構造を塗膜中に組み込み、外力で損傷が生じると、修復剤が反応して欠陥部を埋める仕組みを利用します。自己修復塗料を塗ることで、意匠性を高めながら傷も防止できます。美観の保持だけでなく、防食性や耐久性も長期間にわたり維持できるのが特長です。

従来の塗料では、傷に対する定期的な補修が必要でしたが、自己修復機能を持つ製品を使用することでメンテナンスの頻度が減り、管理コストの低減につながります。紫外線や熱に当てることで塗料の硬化が始まる製品が多いことから、使用の際に特別な機器は必要なく、塗布から硬化までを簡単に行えるメリットもあります。

自己修復塗料の使用用途

自己修復塗料は以下のような用途で利用されます。

1. 自動車

自動車のボディは、走行中に当たる小石や洗車で微細な傷が生じます。自己修復塗料を使用すれば、時間とともに傷が自然に消えて外観の維持に役立ちます。

微細な傷が特に付きやすいのはドアハンドルの周りです。ドアを開け閉めする際に爪の傷がつきやすいドアハンドルには自己修復塗料が使われている場合があります。再塗装の頻度が減るため、保守コストの削減や車両価値の維持につながります。

2. 建築物や橋梁

建築物や橋梁では、日射や雨水、温度変化によるひび割れや劣化が問題です。自己修復塗料は、ひび割れを自動的に補修することで、構造体の防水性や防食性を長期間確保します。定期点検やクラック補修の負担を軽減し、インフラの長寿命化に寄与します。

3. 電子機器・生活用品

スマートフォンや家電製品などの外装にも自己修復塗料が応用されています。日常使用による擦り傷が自己修復されることで、外観を長く美しく保つことが可能です。自己修復塗料の持つ割れにくいという特徴を生かし、スマートフォンのカバーにも使用されています。