栽培コンテナ

栽培コンテナとは

栽培コンテナとは、植物を育てるための設備をコンテナなどの内部に設置した製品です。

LED照明や空調設備及び水耕栽培システムなどが内部に完備されています。これにより、光・温度・湿度・養分といった、植物の生育に必要なあらゆる環境条件をコンピュータで制御できます。完全に密閉された空間のため、台風や干ばつといった外部の天候に一切左右されずに、一年中安定した栽培が可能です。

またトラックなどで輸送できる製品も販売されており、遊休地や工場跡地などの、これまで農業が困難だった場所にも設置できます。棚を何段にも重ねる多段式栽培が一般的で、限られた面積を最大限に活用して効率的に作物を生産できます。外部から隔離されているため、病害虫の侵入リスクが極めて低い点も特徴です。

栽培コンテナの使用用途

栽培コンテナは以下のような用途で使用されます。

1. 都市部

都市のレストランやスーパーマーケットなどのすぐ近くに設置し、新鮮な野菜を生産するために利用されます。消費地のすぐ隣で栽培するため、収穫したばかりの鮮度の高い作物を提供できる点が強みです。また生産地から消費地までの輸送距離を大幅に短縮できるため、輸送時に排出される二酸化炭素の削減にも繋がります。都市部における新しい地産地消の形を実現します。

2. 特殊環境

寒冷地や離島など、気候や土地の条件で露地栽培が難しい地域での食料生産の手段として活用されます。栽培コンテナは内部環境を完全にコントロールできるため、外の気候によらず作物を安定して育てることが可能です。これにより、食料の確保が難しい地域でも継続的な生産が実現できます。

3. 研究開発・教育

植物の生育条件をデータに基づいて細かく設定・変更できる特性を活かし、農業分野の研究開発拠点として導入されています。新しい品種の栽培に適した環境条件を見つけ出すための実験などがその一例です。また天候に左右されずに計画的な栽培実習が行えるため、農業技術を学ぶ教育機関での実習施設としても利用されることがあります。