モーターコアとは
モーターコアとは、モーターの内部に使用される磁性体部品です。
モーターの心臓部として磁力の通り道を形づくる部品です。最も一般的な材料は電磁鋼板と呼ばれる薄い鉄板で、ケイ素を混ぜることで磁力を通しやすくし、同時に発熱を抑えます。多くの場合、薄い板を何十枚も積み重ねて接着し、円筒状に加工します。こうして層を重ねることで、板の間に塗った絶縁膜が渦電流という無駄な電気を断ち切り、エネルギー損失を減らす仕組みです。
わずかな寸法誤差が振動や騒音につながるため、高い加工精度が必要です。近年は電磁鋼板だけでなく、高周波に適したアモルファス合金なども研究され、薄型化と高効率化が進んでいます。素材選びや積層厚み、形状設計のすべてがモーター効率を左右するため、モーターコアは性能の要と言えます。
モーターコアの使用用途
モーターコアはモーターに使用されます。以下は主な用途の一例です。
1. 産業・エネルギー
工場の工作機械やロボットなどでは長時間の連続運転が前提となるため、発熱を抑える高効率コアが不可欠です。渦電流を低減した積層構造が電力消費を削減し、装置の運転コストを低下させます。さらに、大型発電機向けにはアモルファス合金コアが試験採用され、発電効率の向上に貢献している場合もあります。
2. 輸送機器
電動自転車や鉄道車両の駆動モーターに使われるコアは、大きなトルクが必要です。加えて、軽量性も確保する必要があります。これらのモーターコアは高グレードの電磁鋼板を用い、歯先形状を最適化して加速性能と航続距離を向上させます。さらに高速域での振動を抑制し、快適な移動環境を支えます。
3. 家電製品
冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの家電に組み込まれる小型モーターでは、騒音の低減と省エネルギーが重要です。積層されたモーターコアが磁力を効率良く導くことで、静かで長持ちする家電を製造することができます。薄い電磁鋼板で構成されたコアは熱を持ちにくく、室温の変化による性能低下も防ぎます。