電子天びんとは
電子天びんとは、主に理化学用途で利用される、精密に質量を測定するための機器です。
古典的な天秤が分銅との釣り合いを用いて質量を計測するものであるのに対し、電子天びんは予め標準分銅で校正を行い、測定物を載せるだけで測定を行うことができます。電気抵抗線式 (ロードセル式や、ストレインゲージ式など) 、電磁平衡式、音叉振動式などの仕組みを用いて測定を行い、測定値を電気信号に変換して計測を行う仕組みです。
「電子はかり」が、キッチンスケールや台はかりなどの汎用的秤量機器を含む場合があるのに対し、電子天びんは精密秤量を目的として利用される機器です。特に目量 (最小表示) の小さい電子天びんは、静電気、風、振動による秤量結果への影響が無視できないほどの精密秤量となります。静電気除去器、風防、除振台などが併用して利用されることが多いです。
電子天びんの使用用途
1. 研究開発・分析
電子天びんは、大学の実験室や各種研究・検査機関など、精密な秤量が必要な研究開発の場で広く利用されている理化学機器です。化学分野や材料開発などの分野を始め、製薬、食品分野等での質量測定で、多くの電子天びんが使用されています。
特に、分析化学などに最適化された機構や機能を備えた製品は、分析用電子天びんとして販売されています。一般に分析用電子天びんとされるものは微量秤量が可能です。また、製品によってはオプションを追加することで粉体や液体の分注モジュールなどを搭載することもできます。
2. 取引・証明
産業用途では、電子天びんによる測定値を取引や証明に使用する場合があります。このような場合には、国家検定に合格した「検定証印」または「基準適合証印」付の電子天びんが必要です (特別計量器) 。
主な用途としては、貴金属や宝石、真珠の計量や、その他一般に商業的に量り売りなどをする場合が該当します。取引用の電子天びんの中には、カラット・もんめなどの単位に対応した製品もあります。一方、研究・開発や、製造・加工の中間管理工程での質量測定はこれには該当しません。
3. 調剤
医療現場では、調剤薬局での処方せんに基づく薬剤の計量や、病院内で入院患者が服用する薬を準備する際の薬剤の計量に電子天びんが使用されます。尚、薬の販売は取引行為に当たるため、特別計量器の認定を受けた電子天びんを用いる必要があります。
散薬は計量を行い、錠剤は計数を行うため、調剤を用途に想定した電子天びんは、計数機能が搭載されていることが多いです。