脂質ナノ粒子

監修: Blacktrace Japan株式会社

脂質ナノ粒子とは

脂質ナノ粒子(LNP)とはナノサイズの脂質を主成分とする粒子です。医薬品において中心部の水溶性部に核酸医薬や水溶性薬剤を、疎水性部には脂溶性薬剤が導入できます。

 脂質ナノ粒子サイズを制御する事や粒子表面に抗体などを修飾する事で対象とする組織へ医薬品を送達するドラッグデリバリーシステム(DDS)に利用されています。脂質ナノ粒子内部に医療ガスを閉じ込めたナノガスバブルの医薬品開発も行われています。

脂質ナノ粒子の使用用途

癌に薬物を送達させる方法の一つとして脂質ナノ粒子製剤を用いる方法が開発されています。近年では、COVID-19用のワクチンの1種として、脂質ナノ粒子にウィルスのタンパク質の基になるmRNAを内包する形で設計された医薬品も開発されました。

マイクロ流体技術を用いた脂質ナノ粒子作製の利点と原理

狭い粒度分布を持つ単分散リポソームや脂質ナノ粒子を製造し、再現性を得ることは、製薬にとって極めて重要です。薬物送達と薬物放出制御で、粒子径などのパラメータが薬物の取り込みと排出速度に影響するため、スケーラブルな製造プロセスの開発の必要性があります。

一般的にバッチ処理では、合成プロセスの制御が難しく、粒子凝集が発生し粒度分布が広くなることがあります。対照的に、マイクロ流体技術法は、従来のバッチ法より良い制御を達成できる可能性が示されています。レイノルズ数が低く、拡散が支配的な典型的なマイクロ流体工学の特性により、脂質ナノ粒子製造に適した方法の一つであるといえます。

下記は、マイクロ流路を利用した脂質ナノ粒子作製法の一例を図示しています。水溶性流体が脂質をエタノールメタノールなどに溶解した流体にマイクロ流路で合流します。水とエタノールが流路で合流する事で脂質粒子が自己形成されます。この水溶性流体と脂質溶解流体の混合比率、合計流速を変化させることで粒子のサイズの制御ができます。

マイクロ流路を利用した脂質ナノ粒子作製法

マイクロ流路を利用した脂質ナノ粒子作製法

脂質ナノ粒子作製の動画

Automated Lipid Nanoparticle Formulation Library Generation for Vaccine Development ワクチン開発のための自動脂質ナノ粒子製剤ライブラリーの生成

本記事は脂質ナノ粒子作成システムを販売するBlacktrace Japan株式会社様に監修を頂きました。

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