圧電ブザーとは
圧電ブザーとは、電圧を加えると変形する圧電セラミックスの圧電効果を利用して、電気信号を音に変換する電子部品です。
圧電ブザーの基本構造は、圧電セラミックス振動板と、振動板を共鳴・増幅させるための共鳴箱 (ケース) から構成されます。圧電セラミックスに交流の電圧を加えると、電圧の周期的な変化に合わせて振動板が伸び縮みし、この振動が空気を振動させて音波を発生させます。
コンパクトで省電力の圧電ブザーは、構造が比較的単純であるため大量生産にも適しており、安価に入手できます。また、電磁式ブザーと比べると発生するノイズが少ないという利点もあります。
圧電ブザーは、電圧の周波数を変えることで音の高さを、電圧の大きさによって音量を制御できます。比較的高い周波数帯域の音を得意としており、電子機器の報知音や警報音として広く利用されています。
圧電ブザーの使用用途
圧電ブザーは、その特性を生かしさまざまな用途で使用されています。主な用途として以下のようなものが挙げられます。
1. 家庭用電化製品
家庭用電化製品では、圧電ブザーは操作の確認や危険を知らせる目的で広く採用されています。炊飯器や電子レンジ、洗濯機の作動終了を知らせる音が代表的な例です。さらに、エアコンや冷蔵庫などの異常を知らせる警告音にも用いられ、機器の故障や誤動作を早期に発見し、事故を防ぐ重要な役割を担っています。
2. 情報機器
情報機器では、パソコンの起動音やエラー音、プリンターの印刷完了音、スマートフォンの着信音や通知音など、操作や状態を知らせる目的で使用されています。また、機器のボタンを操作した際の確認音としても活用され、利用者に操作の確実性を音でフィードバックすることで誤操作の防止や操作性の向上に貢献しています。
3. 産業機器、車載機器
工場などの産業機器や自動車などの車載機器では、警報音や報知音として圧電ブザーが使用されています。例えば、工作機械の異常停止を知らせる警報音、フォークリフトの接近を知らせる警告音、自動車のシートベルト未装着警告音、バックアラームなどがあります。安全確保の観点から、周囲の騒音に負けない大音量や、特定の周波数で聞き取りやすい音色が求められることが多いため、用途に応じた圧電ブザーが選択・設計されています。