円筒ころ軸受とは
円筒ころ軸受とは、転動体に円筒状のころを使用した軸受です。
ころと軌道輪が線接触をするため、ラジアル荷重に対する負荷能力が非常に大きいのが特徴です。他の軸受と比較して、接触面積が広いため、荷重が分散され高い剛性を持ちます。
また、円筒ころ軸受は内輪と外輪が分離可能な構造になっているものが多く、取り付けや取り外しが容易であるという利点があります。軌道輪のつばの有無によって、NU形、NJ形、NUP形、N形、NF形などの単列軸受、NNU形、NN形の複列軸受といった様々な形式があり、用途に応じて選択可能です。
高速回転性能にも優れています。理由は転動体と軌道輪のつばとの摩擦が小さいためです。ただし、アキシアル荷重を受ける能力は限られており、主にラジアル荷重を受ける用途で使用されます。アキシアル荷重を受ける場合は、他の形式の軸受と組み合わせるか設計上の工夫が必要になります。
円筒ころ軸受の使用用途
円筒ころ軸受の使用用途として、工作機械、産業用機械、鉄道車両、風力発電機の4つを解説します。
1. 工作機械
工作機械の主軸は高い精度と剛性が要求されるため、複列の円筒ころ軸受が多用されます。複列円筒ころ軸受が、ラジアル荷重に対する剛性が非常に高く、精密な加工を可能にするためです。マシニングセンタ、旋盤、研削盤など、幅広い工作機械で活用されています。
2. 産業用機械
製鉄機械、圧延機、建設機械など、過酷な条件下で使用される産業用機械にも円筒ころ軸受は必要です。こうした機械は重荷重や衝撃荷重を受けることが多いため、高い負荷能力と耐久性を持つ円筒ころ軸受が適しています。
3. 鉄道車両
鉄道車両の車軸にも円筒ころ軸受が使用されています。鉄道車両は、長距離を高速で走行し、多くの乗客や貨物を輸送するため、軸受には高い信頼性と耐久性が求められます。そのため、円筒ころ軸受によって安全で快適な鉄道輸送を実現しています。
4. 風力発電機
再生可能エネルギー分野の風力発電機にも採用されています。風力発電機の増速機や発電機には、大型で高い負荷能力を持つ軸受が必要です。円筒ころ軸受は、要件を満たし、風力発電の効率向上を実現しています。