有機質肥料

有機質肥料とは

有機質肥料とは、動物や植物、微生物などの生物由来の資源を原料とした肥料のことです。

有機質肥料の代表例として、魚粉や油粕を原料とした肥料が挙げられます。基本的には有機物を原料としていますが、鶏糞や植物の灰など、一部無機質でありながら有機質肥料に該当するものも存在します。

有機質肥料の使用用途

有機質肥料は、土壌中の養分を補充する目的と土壌改良の目的で使用されます。肥料の中には、有機実肥料と化学肥料が存在しており、有機肥料は、即効性が少ないものの、効果が持続しやすいことが特徴です。

そのため、農作物を栽培する前に、土壌改良剤として使用する場合と、農作物の成長具合に応じて追加で使用する場合の2つの用途があります。どちらも土壌中に混ぜ込むか、土壌の上に撒くだけの工程のため簡単に使用できます。

有機質肥料の種類

有機質肥料は種類が豊富にあるため、それぞれの特性を理解して効率よく利用することが大切です。 

1. 油粕

油粕とは、大豆や菜種などから油を取り除いた絞りかすのことです。有機質肥料の中でも特に窒素が豊富なほか、リン酸カリウム等も含まれます。 

2. 脱脂米ぬか

米ぬかとは、玄米を精米する際に出る粉末で、脱脂米ぬかとは米ぬかから油を取り除き、飼料用に加工したものです。窒素、リン酸、カリウムのほか、ビタミンや糖分も多く含まれます。

3. 草木灰

草木灰とは、落ち葉や枯れ草などの草木を燃やした後にできる灰のことです。カリウムを多く含むほか、石灰とリン酸なども含まれます。

4. 鶏糞

鶏糞とは、ニワトリの糞に、乾燥、発酵、炭化などの加工を施した肥料で、鶏ふん堆肥とも呼ばれます。窒素、リン酸、カリウムをバランスよく含んでいるほか、マグネシウムやカルシウムも豊富です。

5. 魚粉 

魚粉とは、魚を煮て水分と油分を取り除いた後、乾燥させ粉末状にしたものです。窒素およびリン酸が豊富に含まれます。

6. 骨粉

骨粉とは、豚や鶏などの骨を高温で加圧・蒸製し、乾燥・粉砕したものです。リン酸を豊富に含むほか、窒素もわずかながら含まれます。

有機質肥料の特徴

1. 長所

持続性が高い
有機質肥料は微生物に分解された後、植物の根から吸収されるため、化学肥料と比較して持続性が高いという特徴があります。そのためゆっくりと効果を発揮し、効果が長く持続します。

土壌環境が改善される
有機質肥料を使用することで、土壌中の有用微生物が活性化します。有用微生物の活性化により土壌の団粒化が促進され、その結果土壌の通気性や保水性、排水性、保肥性などが高まります。 有機質肥料の利用により土壌環境が改善され、作物の栽培に適した土壌環境を生み出すことが可能です。

微量必須要素の供給が期待できる
植物の微量必須要素には亜鉛などがあります。有機質肥料には様々な元素が含まれているため、有機質肥料を使用することでこれらの微量必須要素の供給が期待できます。

2. 短所

即効性が低い
有機質肥料は土壌中の微生物の働きで分解され、その結果として植物が吸収できる養分に変化します。そのため有機質肥料には即効性はなく、効果があらわれるまでに時間がかかります。

量の調整が難しい
有機質肥料は微生物の働きによって効果を発揮するため、微生物の活性化の度合いによって効き目に差が出ることがあります。具体的には、微生物が活性化しやすい環境下では分解が進みやすく、大きな効果が期待できます。

その一方で、微生物が活性化しにくい環境下では、効果が小さくなる可能性があります。化学肥料と比較すると、有機質肥料は目的に応じた量の調整が難しいことが特徴です。

ガスやニオイの原因になる
有機質肥料は、土壌中の微生物の働きで分解されることで、植物が吸収できる養分に変化します。その過程で、ガスやニオイが発生する場合があるため注意が必要です。具体的には、ガスは植物の根を傷める原因になったり、ニオイが強いと虫や鳥を寄せ付ける原因になったりすることがあります。

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