非接触センサー

非接触センサーとは

非接触センサーとは、対象物に直接触れることなく対象物の状態を検知するセンサーです。

非接触センサーは、光や電磁波、超音波を用いて距離や温度、有無、動きを計測・検知でき、対象に物理的影響を与えない点が大きな特長です。またセンサー自体の摩耗や劣化が起こりにくく、長寿命であるというメリットもあります。さらに高速移動体や高温・高圧・腐食環境など、接触式では困難な条件下でも使用でき、幅広い環境での計測が可能です。

非接触で測定できる利点は、対象物を傷つけるリスクを避けるだけでなく、衛生管理が求められる環境や危険な場所でも測定を可能にする点にもあります。非接触センサーは、従来測定が難しかった環境や対象物の情報を取得するのに非常に有用です。

非接触センサーの使用用途

非接触センサーは、その特性からさまざまな分野で利用されています。大きく分けると、産業分野、自動車分野、医療・ヘルスケア分野での活用が挙げられます。

1. 産業分野

非接触センサーは、工場の自動化 (FA) において重要な役割を担っています。製造ライン上の製品や部品の有無・位置検出に広く利用され、生産プロセスの効率化に貢献しています。例えば、コンベア上の製品を正確にカウントし、ロボットアームのピッキングを制御することで、生産ラインの高速化・自動化を実現します。検査工程でも、非接触センサーは不可欠です。製品の寸法や形状を非接触で測定し、迅速かつ正確な検査を行うことで不良品の流出を防ぎます。また機械設備のモニタリングにも活用されています。例えば回転機械の振動を常時監視することで異常を早期に検知し、故障を未然に防ぐことができます。

2. 自動車分野

安全運転支援システムにおいて、非接触センサーは重要な役割を担っています。車間距離を測定するレーダーや障害物を検知する超音波センサーは、自動ブレーキシステムや衝突回避システムに欠かせない技術です。駐車支援システムでは、障害物との距離を測定し安全でスムーズな駐車をサポートします。さらに近年では自動運転技術の開発が進められており、非接触センサーは周囲の環境を認識するための重要な要素技術として注目されています。

3. 医療・ヘルスケア分野

非接触センサーは、体温計をはじめとするさまざまな医療機器に用いられ、患者の負担軽減に役立っています。また血圧計や心拍計における非接触測定技術の開発も進んでおり、今後さらなる医療への貢献が期待されます。さらに非接触センサーは手術ロボットやリハビリテーション機器にも活用され、治療の精密化や患者の安全性向上に寄与しています。加えて高齢者の見守りや健康管理システムにも導入され、健康状態のモニタリングや異常の早期発見に役立っています。