ポリエーテルスルホン

ポリエーテルスルホンとは

ポリエーテルスルホン (PES) とは、優れた耐熱性、耐薬品性、機械的強度を兼ね備えた高性能熱可塑性樹脂のことです。

分子構造中にスルホン基 (-SO2-) とエーテル結合 (-O-) を有することが特徴で、その構造から高いガラス転移温度と剛直性を発現します。ポリエーテルスルホンは1972年にイギリスのICI社によって開発され、現在では世界各国の化学メーカーで製造されています。

ポリエーテルスルホンは、透明からわずかに黄褐色を帯びた外観を有し、無臭で安全性の高い素材です。優れた特性から、厳しい使用環境が想定される産業分野を中心に幅広く採用されています。またアメリカ食品医薬品局 (FDA) や欧州の食品安全規制に準拠しているため、食品と接触する用途にも安心して使用できる点も大きな利点です。成形加工性に優れ、射出成形や押出成形など様々な加工方法で複雑な形状の製品を製造することが可能です。寸法安定性にも優れているため、精密な部品製造にも適しています。

ポリエーテルスルホンの使用用途

ポリエーテルスルホンの使用用途として、電気・電子部品分野、自動車部品分野、医療機器分野、航空宇宙分野の4つを解説します。

1. 電気・電子部品分野

ポリエーテルスルホンの高い耐熱性と電気絶縁性は、電気・電子部品分野において大きな強みを発揮します。例えばコネクタ、スイッチ、リレーなどの部品に使用され、高温環境下でも安定した性能を維持します。

2. 自動車部品分野

自動車産業では、燃費向上を目的とした軽量化やエンジンルーム内の高温環境への対応が求められています。ポリエーテルスルホンはその軽量性と耐熱性から、エンジン周辺部品やトランスミッション部品、さらには燃料系統の部品にまで採用が広がっています。

3. 医療機器分野

医療機器分野では、安全性と信頼性が最も重視される要素です。ポリエーテルスルホンは生体適合性に優れ、オートクレーブ滅菌などの高温・高圧の滅菌処理にも耐えられます。

4. 航空宇宙分野

航空宇宙分野では極限環境下での信頼性が求められます。ポリエーテルスルホンは、優れた耐熱性、耐薬品性、機械的強度から、航空機の機内装備品やエンジン周辺部品に使用されています。