カンファンとは
カンファンとは化学式C10H18であらわされる有機化合物であり、ボルナンとも呼ばれます。二環式モノテルペンの基本骨格のひとつでノルボルナンにメチル基が3つ付加した構造であり、この骨格をもつ代表的な化合物が虫よけなどに用いられる樟脳です。カンファン単体は樟脳やボルニレンを還元することで得られ、樟脳に似た芳香を有する無色の六角板状晶であり、昇華性があります。
通常は単体での取り扱いは行われず、試薬としてはカンファン酸クロリドとしての販売が知られています。この化合物はGHS分類において金属腐食性物質、皮膚腐食性/刺激性、眼刺激性に分類されています。また法規制について、労働安全衛生法、労働基準法、PRTR法、毒物および劇物取締法において、いずれも非該当となっています。
カンファンの使用用途
カンファンは二環式モノテルペンの基本骨格のひとつであり、この骨格を有する化合物については多くの天然由来化合物の存在が知られています。特に一般によく知られた化合物のひとつが樟脳であり、英名であるカンフル(カンファ-)はカンファンが由来となっています。樟脳にさまざまな生理作用(血行促進、鎮痛、消炎など)があることからも分かるように、カンファン骨格を有する二環式モノテルペン化合物は、さまざまな生理活性を有することでも知られています。
カンファン単体での使用は非常に限定的ですが、この骨格から派生したノルボルネン、ノルボルナン化合物をはじめとするモノテルペン化合物についてはさまざまな生理活性に関する研究が進められています。