比熱測定

比熱測定とは

比熱測定とは、比熱容量という物質値を測定するための方法です。

比熱容量は、単位質量の物質の温度について単位温度だけ上昇させるために必要な熱量を表します。単位は「J/ (㎏・K) 」を用いるのが一般的です。比熱測定は、測定時に融解などの相転移が発生しない範囲で実施されます。比熱の大きな物質は熱の含有可能量が大きいので、温まりにくく・冷めにくいのが特徴です。物質によって熱に対する反応はさまざまであり、例えば「金属」と「水」でも大きく異なります。同じ条件下で直射日光に当たった場合、金属が短時間で熱くなるのに対し、水が熱くなるには時間を要します。

比熱に類似する物質量として「熱伝導率」が挙げられます。この値は熱の伝わりやすさを表し、熱の含有可能量を表す比熱とは異なる指標です。比熱の高い液体では熱伝導率が低く、比熱の低い金属では熱伝導率が高くなる性質があります。

比熱測定の使用用途

比熱測定には、主に4種類の測定方法が存在します。

1. レーザーフラッシュ法

レーザーフラッシュ法は、測定する物質の表面にレーザーパルス光を照射する比熱測定方法です。照射による熱が物質の厚さ方向に広がり、裏面に伝わることで温度変化を測定します。温度測定には、赤外線センサーが用いられるのが一般的です。

2. 断熱法

断熱法は、測定する物質が周囲の断熱状態を維持した上で、一定の熱量を与えた時に発生する温度上昇量を測定する方法です。測定できる温度範囲は、室温程度から800℃までと制限があります。一方、試料容器に入れば個体や粉末の測定が可能で、例えば「灰」などの混合物や複合材も測定できるのがメリットと言えます。

3. DSC法

DSC法は、測定する物質と基準となる物質に同一条件で熱を加え、差異を測定する方法です。物質の寸法は小さく、測定できる温度範囲もマイナス100℃から1,400℃までと幅広いので、最も頻繁に利用される比熱測定方法と言えます。

4. 投下法

投下法は、測定する物質を所定の温度に加熱し、室温の水熱量計内に投下して温度上昇を調べる方法です。調査は比熱容量の温度を中心として複数の温度で実施し、温度と熱含量の関係を求めた上で比熱容量を導き出します。