サイド実験台

サイド実験台とは

サイド実験台は、天板下に収納スペースの付いた比較的コンパクトな実験台です。

昔ながらの設計で、一般的な化学実験室に多用されています。実験室の壁面に設置することが想定されているため、サイド実験台の背面には配管スペースなどもあります。サイド実験台の材質は、基本的に「木製」と「スチール製」の2種類です。木製のサイド実験台は酸性など腐食性の高い薬品を使用する実験室に適しており、木の温もりが感じられるためデザイン性も評価されています。一方、スチールの実験台は耐久性が高く、有機合成実験室や重い機器を載せるのに適しています。

壁面への設置を想定したサイド実験台に対し、実験室の中央部への設置を想定した「中央実験台」もあります。例えば、教員が学生に実験の手本を見せる際は、教卓代わりとして中央実験台を使用することもあるでしょう。

サイド実験台の使用用途

サイド実験台には、実験を中心とした複数の使用用途があります。

1. 収納

実験室には、さまざまな薬品や実験機器が存在します。特に、薬品の中には劇物も含まれるため、厳重な管理が必要です。一般的にサイド実験台は壁面に設置されるため、収納を目的として利用されることが頻繁にあります。実験に欠かせない物質や機器の管理も、サイド実験台の役割のひとつと言えます。

2. 一般化学実験

名前の通り、サイド実験台は一般的な化学実験を行うテーブルとしての役割があります。天板下には収納スペースが付いているので、実験に必要なものを手軽に取り出すことが可能です。スチール製の場合、実験結果がはっきりと判別できるよう、天板は白や黒などの単色になっています。

3. 食品検査

サイド実験台は、食品検査室の検査台としても使用されます。異物混入時に発見できるよう、天板は白色が好まれます。また、食品検査室では流し台の備わったサイド実験台も重宝されます。一般化学実験と比較して、食品検査室はより清潔な環境を整えることが求められます。

4. デザイン性

近年のサイド実験台は、さまざまな用途に合わせて部品をカスタマイズできる特徴があります。例えば、天板上の棚 (シェルフ) の有無や照明の設置などを組み合わせることで、より充実した実験を行うことが可能です。

静電容量計

静電容量計とは

静電容量計とは、電気を溜める能力を測定するための計器です。

静電容量が大きければ、小さな電圧でも大きな電荷を蓄えることができます。静電容量計は「静電容量式レベル計」と呼ばれることもあり、検知のみに使用する場合は「レベルスイッチ」とも言います。

古くから普及している測定方法である静電容量計は、一対の電極間、あるいは1本の電極と金属タンクの間の静電容量を調査することが可能です。静電容量計では、導電性の有無や液体・粉粒体に関わらず測定ができます。ただし、静電容量計は気泡の発生や異物混入などによって物質の比誘電率が変化した場合、正確な検査ができない恐れがあります。適切な測定を行うためには、静電容量の原理や調べたい物質の特徴を理解し、正しい検査方法を見極めることが大切です。

静電容量計の使用用途

静電容量計を利用すれば、静電容量の値から物事を検知する機能を生み出すことができます。具体的な静電容量計の使用用途は、以下の通りです。

1. 検品作業

機械を自動化して食品を大量生産している場合、静電容量を利用してミスを検知することが可能です。例えば、納豆とタレをパックに封入する作業において「タレが封入されない」というミスが発生した際、静電容量技術によって検知することができます。

2. 水位測定

静電容量の値の変化を把握することで、水位の状態を知ることが可能です。例えば、ダムや貯水槽など、水内に電極を立てていると静電容量の値は水位によって変化します。水が貯まっていない時は電極間には空気しか存在しませんが、水が増えると誘電体が満たされ、静電容量の値に変化が生じるためです。

3. 侵入者の検知

ある空間の静電容量を感知するシステムを構築することで、身の周りの安全を整えることができます。例えば、金庫付近に静電容量を感知する機能を設置するとします。すると人が近付くことで静電容量が変化するため侵入者が入ったことが分かり、警報が鳴る、といった防犯システムが利用可能です。

比熱測定

比熱測定とは

比熱測定とは、比熱容量という物質値を測定するための方法です。

比熱容量は、単位質量の物質の温度について単位温度だけ上昇させるために必要な熱量を表します。単位は「J/ (㎏・K) 」を用いるのが一般的です。比熱測定は、測定時に融解などの相転移が発生しない範囲で実施されます。比熱の大きな物質は熱の含有可能量が大きいので、温まりにくく・冷めにくいのが特徴です。物質によって熱に対する反応はさまざまであり、例えば「金属」と「水」でも大きく異なります。同じ条件下で直射日光に当たった場合、金属が短時間で熱くなるのに対し、水が熱くなるには時間を要します。

比熱に類似する物質量として「熱伝導率」が挙げられます。この値は熱の伝わりやすさを表し、熱の含有可能量を表す比熱とは異なる指標です。比熱の高い液体では熱伝導率が低く、比熱の低い金属では熱伝導率が高くなる性質があります。

比熱測定の使用用途

比熱測定には、主に4種類の測定方法が存在します。

1. レーザーフラッシュ法

レーザーフラッシュ法は、測定する物質の表面にレーザーパルス光を照射する比熱測定方法です。照射による熱が物質の厚さ方向に広がり、裏面に伝わることで温度変化を測定します。温度測定には、赤外線センサーが用いられるのが一般的です。

2. 断熱法

断熱法は、測定する物質が周囲の断熱状態を維持した上で、一定の熱量を与えた時に発生する温度上昇量を測定する方法です。測定できる温度範囲は、室温程度から800℃までと制限があります。一方、試料容器に入れば個体や粉末の測定が可能で、例えば「灰」などの混合物や複合材も測定できるのがメリットと言えます。

3. DSC法

DSC法は、測定する物質と基準となる物質に同一条件で熱を加え、差異を測定する方法です。物質の寸法は小さく、測定できる温度範囲もマイナス100℃から1,400℃までと幅広いので、最も頻繁に利用される比熱測定方法と言えます。

4. 投下法

投下法は、測定する物質を所定の温度に加熱し、室温の水熱量計内に投下して温度上昇を調べる方法です。調査は比熱容量の温度を中心として複数の温度で実施し、温度と熱含量の関係を求めた上で比熱容量を導き出します。