無機ELとは
無機ELとは、エレクトロルミネッセンス現象を利用して発光させる表示装置の一種です。
蛍光体には硫化亜鉛などの無機物が使用されています。有機ELとは異なり、蛍光物質に無機化合物を用いていることが特徴です。無機ELは製造コストが安く、発熱がなく、衝撃や振動に強いといったメリットがある一方、輝度が低く、寿命が短く、カラー表現が難しいというデメリットも存在します。また、有機ELよりも反応が遅く、気密の確保が不可欠です。
近年では、透過型無機ELディスプレイの開発も進んでいます。透過型無機ELディスプレイは、本物のガラスに近い透過率80%を実現しており、過酷な環境下でも動作するという強みを持っています。
無機ELの使用用途
無機ELは、その特徴を活かして様々な分野で使用されています。
1. 産業機器分野
産業機器分野での無機ELの用途は、工場の製造ラインや医療機器のモニターなど、過酷な環境下でも安定して動作することが求められる場面です。高い視認性と耐久性を活かし、様々な産業機器の表示装置として利用されています。例えば、工場の製造ラインでは、装置の稼働状況や生産進捗を表示するモニターとして使用されています。そして、医療機器での用途は、患者のバイタルサインを表示するモニターです。無機ELは、衝撃や振動に強く、極低温でも動作するため 、工場や医療現場のような厳しい環境下でも安定して使用することができます。
2. 車載分野
車載分野での無機ELの用途は、車載用のディスプレイや計器のバックライト、非常口や屋内外に設置する看板の夜間照明などです。高い視認性と耐久性を持ちながらも薄型・軽量であるため、車載用途に適しています。また、非常口や看板の夜間照明としても、省電力という特性を活かして利用が進んでいます。
3. 照明分野
無機ELは、面発光による均一な光と、薄型・軽量という特徴から、照明分野でも注目されています。面発光であるため、影ができにくく、目に優しい光を提供することができます。さらに、薄型・軽量であるため、デザインの自由度が高く、様々な場所に設置することができます。