アナログフィルタとは
アナログフィルタとは、コンデンサ、インダクタ、抵抗などの受動素子を用いて構成された、連続的に変化するアナログ信号に対して動作する電子回路です。
特定の周波数帯の信号だけを通過させたり、遮断したりする機能をもち、音声信号処理や無線通信など、様々な分野で利用されています。アナログフィルタは、通過させる周波数帯域によって、主に以下の4種類に分類されます。
- LPF (Low-pass filter):低い周波数の信号だけを通過
- HPF (High-pass filter):高い周波数の信号だけを通過
- BPF (Band-pass filter):特定の周波数帯域の信号だけを通過
- BEF (Band-elimination filter):特定の周波数帯域の信号だけを遮断
アナログフィルタの使用用途
アナログフィルタは、以下のような様々な分野で幅広く使用されています。
1. 音響機器
オーディオ機器での用途は、音声信号から特定の周波数帯域を抽出したり、ノイズを除去したりすることです。例えば、スピーカーシステムでは、低音域、中音域、高音域のそれぞれに適したスピーカーに信号を分配するために、LPF、BPF、HPFが使用されます。またイコライザーでは、BPFを用いて特定の周波数帯域の音量を調整することで、音質を変化させることが可能です。オーディオアンプでは、アナログフィルタを使用して周波数応答を調整し、特定の周波数帯域を強調したり、抑制したりすることで、音質を調整することができます。
2. 通信機器
無線通信での用途は、特定の周波数の電波だけを送受信するためです。携帯電話や無線LANなど、様々な無線通信機器にアナログフィルタが搭載されています。また、アナログフィルタは有線通信においても、信号のノイズ除去や特定の周波数帯域の信号の抽出などに利用されています。例えば、ラジオ受信機では、アナログフィルタを使用して特定のチャンネルを選択し、他のチャンネルからの干渉を排除することができます。
3. 医療機器
心電図や脳波計などの医療機器での用途は、生体信号からノイズを除去し、必要な信号を抽出することです。例えば、ペースメーカーでは、アナログフィルタを使用して電気信号からノイズを除去し、心臓の正常なリズムを維持することができます。
4. 産業機器
産業用ロボットやFA機器など、様々な産業機器において、制御信号のノイズ除去や特定の周波数帯域の信号の抽出などに、アナログフィルタが使用されています。
参考文献
https://www.nfcorp.co.jp/techinfo/keisoku_kouza/filter_introduction/