インラインヒーター

インラインヒーターとは

インラインヒーターとは、配管ラインの途中に設置してラインに流れる液体・ガスを加熱するヒーターです。

様々なラインで使用されており、加熱熱源にも多様な形態があります。供給配管または循環濾過配管の途中に液を流しながら加熱できるため、処理槽内の投げ込みヒーターが不要になります。

流体中に直接熱源を挿し込む形態の製品や、ヒーターを直接流体に触れさせなくても加熱できる製品など様々なものがあります。工業用以外では、魚の観賞用水槽のヒーターをインラインヒーターと呼ぶこともあります。

インラインヒーターの使用用途

インラインヒーターは、温水を使用する産業シーンや製造業における薬液循環・過熱薬液洗浄や加熱純水リンス、油の加熱をはじめとする、様々な分野で使用されます。特に、半導体製造ウエットプロセスにおける各種薬液の加熱で重要な役割を担うことが多いです。

また、気体加熱用のインラインヒーターは、空気、窒素ガス、水素ガス、オゾン、二酸化炭素、その他混合ガスや蒸気など、様々なガスに対応して加熱できます。プラント施設の追加熱源など産業シーンで使用可能です。

インラインヒーターの原理

インラインヒーターは、基本的には流体を通す配管と加熱体で構成されています。加熱体にはシーズヒーターや、ハロゲンヒーター、板フランジヒーターなどが主に用いられ、流れる液体に直接蒸気を送り込んで加熱する製品や、マイクロチャンネル熱交換器を利用した仕組みの製品もあります。

熱源の種類に関わらず、液体用のインラインヒーターでは、流体がない状態での空焚きを行うと危険なため、過昇温防止センサーが取り付けられています。

インラインヒーターの構造は大別して、ヒーターが直接流体に接する製品と、流体部の外からヒーターで加熱する製品の2種類があります。接液しない製品では、流体へのコンタミネーションが低く抑えられます。

流路部分に石英ガラスが使用されているものもあります。石英ガラスは金属イオン溶出が極めて少なく、耐熱性や耐薬液性に優れた素材です。

インラインヒーターの種類

インラインヒーターは、まずは気体用と液体用に大別されます。更に、ヒーターと流体が直接接するものとそうでないものとに大きく分けることができます。

液体用では、水のみ使用可能なもの、洗浄液や油も使用可能なものなど、製品によって使用可能な流体が異なるため注意が必要です。気体用では、気体種類・流量・温度・圧力等によって種類が分けられています。

接液するインラインヒーターについては、通常のインラインヒーターと呼ばれる製品の他に、ケーシングと呼ばれる筒の部分が大きく、大型の板フランジヒーターやネジ込みヒーターを使用したシェル型ヒーターなどがあります。シェル型ヒーターの中にも大きさなどの種類があり、多様な製品から選択することが可能です。

安全性に配慮した製品では、過昇温センサー、過熱検知センサー、漏液検知導線、空焼防止機構としてのサーモスタットなどが付属しています。耐食金属 (ステンレス、カーペンター、ハステロイ、ニッケル合金、チタン) や、テフロンなどの合成樹脂を使用した製品は、腐食に強く、多様な流体への対応が可能です。