タップ除去工具とは
タップ除去工具とは、ねじ山をタップで切る際に誤って折れて詰まったタップを取り除く専用工具です。
タップは金属やプラスチックなどの材料にねじ山を切るための工具です。ドリルで開けた下穴にハンドルでタップをねじ込みながらねじ山を作ります。このタップに横方向の強い力が加わると、折れて下穴に詰まってしまうことが多いです。
手作業でタップを取り除くと、周囲の部品を傷つけるリスクがあります。タップ除去工具を使用することで、周囲の破損リスクを最小限に抑えることが可能です。また、 タップ除去工具を使用することで、破損タップを取り除いた後も部品を再利用できる場合があり、材料や部品の無駄を減らすことができます。
タップ除去工具の使用用途
タップ除去工具は主に破損したタップを取り除くために使用されます。以下はその用途の一例です。
1. 建設業
建設業では鉄骨や鋼材などの金属を使用して、構造物の組み立てを行います。タップ除去工具はこれらの金属部品に対する加工時に、ねじ穴を作るために使用されるタップの詰まりを除去する際に使用されます。これにより、タップ加工に失敗した鋼材を再利用できる場合も多いです。
2. 加工業
加工業では機械部品の加工を行う際に、タップが破損することがあります。タップ除去工具は効率的に破損したタップを取り除くために使用され、作業の進行を円滑にすることが可能です。特に金属加工や精密機械加工の分野で重要な役割を果たします。
3. 電子機器産業
電子機器の製造には、小型で精密な部品が多く使用されます。これらの部品にタップを使ってねじ山を切ることがありますが、小口径のねじ山を使用するため、タップの折損リスクも高いです。タップ除去工具はこれらの製造や修理の際に無駄なくタップを除去できます。
タップ除去工具の原理
タップ除去工具の基本的な仕組みは、破損したタップに逆回転をかけることです。タップは通常時計回りに回して内ねじを切りますが、破損したタップを取り外す際には逆回転をかけてタップを緩めて取り出します。逆回転の力が破損部分に作用することで、タップが穴から外れる方向に回転し、取り外すことが可能です。
タップ除去工具には、タップの破損部分をしっかりと掴んで回転させるための『エクストラクター』が組み込まれる場合が多いです。
エクストラクターはタップの破片に噛みつくような形状になっており、工具を回転させることでタップを引き抜く力を加えます。破損したタップに対してしっかりと密着し、タップを引き抜くために強力なトルクを発生させます。
また、一部のタップ除去工具には、タップの中心部分に小さな穴を開ける機能が備わっています。破損がひどい場合などにはセンタードリルでタップの中心に穴を開け、その穴からエクストラクターを挿入してタップを取り除きます。タップが完全に壊れている場合や、非常に頑固に詰まっている場合に有効です。
タップ除去工具の選び方
タップ除去工具を選ぶ際には、以下を考慮することが重要です。
1. 寸法
タップ除去工具は、使用するタップのサイズに合わせて選定する必要があります。タップ寸法に合わない工具を使用すると、破損したタップをうまく取り除けないだけでなく、周囲のねじ穴や部品に損傷を与えるリスクも高まります。
2. 材質
タップ除去工具の材質は工具の耐久性や使用環境に大きく影響します。タップ除去工具は高トルクや高圧に耐える必要があり、適切な材質を選ばなければ破損や摩耗が早く進みます。高炭素鋼や合成鋼及びチタン鋼などの材料を選定することが多いです。
3. ハンドル
付属するハンドルの種類も重要です。ハンドルは、作業時の安定性や力の加わり方に影響します。
ハンドルの形状には、直線的なものやL字型、T字型などがあります。T字型やL字型のハンドルは、タップ除去の際に高いトルクをかけやすく、効率的に作業を進めることができます。直線型は比較的細い径の部品に適しています。
また、作業中に手が滑らないように、グリップ性が良いハンドルを選ぶことも重要です。長時間使用する場合、手の疲労を軽減するためにエルゴノミクス設計が施されたハンドルを選ぶと快適に作業が進みます。