計測器管理システムとは
計測器管理システムとは、自社内に保有する計測器の分類、校正期日管理、持ち出し管理、予約管理などを一元的に担うことのできるシステムです。
計測器を適切に管理するためには、保有する計測器の一元的な管理による把握が必要です。計測器管理システムは、このような台帳管理とともに、購入実績や校正履歴、修理履歴、トラブル履歴、附属書類の管理など、履歴の管理を行うことができます。
また、校正計画と日常点検の実施など、予定事項についても管理することが可能です。
計測器管理システムの使用用途
1. 対応している計測器
計測器管理システムは、工場などで使用されている計測器一般の管理に対応しています。温度、圧力、力計、流量、長さ、電気などの各計測器に対応しており、具体的な例としては下記のようなものが挙げられます。
- 機械計測機器 (ノギスやマイクロメーター、プラグゲージ、リングゲージ、ねじゲージ)
- 角度計、圧力計
- 抵抗や電流などを計測する電子計測機器・装置一般 (マルチメータ、電圧標準器、分圧器、標準電池、電流センサ、LCRメーターなど)
- 秤量機器
- 温度計 (抵抗温度計、放射温度計、など)、熱電対
- 環境計測器
- 流量計
- 照度計・放射照度計
製造業一般で汎用される計器のほか、化学プラント系の圧力、流量、秤量や、炉の温度計・熱電対なども管理が可能です。
2. 導入目的・効果
計測器管理システムを活用して計測器情報を一元的に管理することにより、次のような効果が得られます。
- 管理業務の効率化と管理コストの削減
- 紛失防止
- 遊休資産の削減・過剰購入の抑制
- 計測器運用効率の向上
- 計測器予約機能を活用し、社内の計測器の共用利用を促進
- 把握した利用状況の情報から、最適な計測器の調達・運用・管理
また、ISO9001では、検査、測定及び試験機の管理において次のような項目が要求されており、計測器管理システムはこれらの遵守に役立っています。
- 必要な正確さと精密さを持つ測定器を選択すること
- 使用する計測器が、使用頻度に応じ規定した間隔で校正、調整されていること
- 合格していることの根拠となる記録を作成し、維持していること
計測器管理システムの原理
計測器管理システムには、主に下記のような機能が搭載されています。
- バーコード・ICタグを用いた棚卸し
- 持ち出し・貸出・返却時のステータス管理
- 利用予約
- 校正結果・履歴、修理履歴、稼働率、の把握
- 校正期限のスケジュール管理・リマインダーアラート
- 月次、年次校正スケジュールの作成
- レポート作成
- 校正費用の管理
- 取扱説明書・校正手順書の管理
- 廃却記録
計測器管理システムで一元的に台帳管理を行うことにより、計測器の保有数や保有種類の適正な管理が可能です。また、校正期限・スケジュールを自動管理することにより、使いたい計器が校正切れになっているシチュエーションを防ぐことができます。
また、計器回収を指示する回収指示書の自動発行や、校正手順書・計測器説明書など付属書類の一元管理も可能です。
計測器管理システムの種類
計測器管理システムは、様々なシステム製品が提供されています。それぞれのシステムで特色ある機能が搭載されています。
例えば、持ち出し記録の入力方法では、QRコード、バーコード、ICタグなどがあります。発行・登録は簡便で、持ち出し・返却はスキャンするだけです。工場マップをシステム内に読み込んでマッピングを行うことができるシステムも有ります。特に、ICタグを用いているシステムでは、紛失防止のための位置管理にも有効です。
多くのシステム製品でクラウド型管理が可能です。Webブラウザのみで操作が完結する製品もあります。また、一部の製品では、基本機能を無料で使用することができ、追加料金にて予約機能などの拡張機能を使用することが可能です。