ワイヤレス圧力センサーとは
ワイヤレス圧力センサーとは、電源や通信などの有線接続を必要とせず、工場やプラントにおけるゲージ圧などの圧力測定を行うことができる圧力センサーです。
工場やプラントにおいて、ゲージ圧、シールドゲージ圧、連成圧など、気体や液体の圧力を測定・管理することが必要な産業シーンは多々あります。従来型の有線の圧力センサーでは、長い電源ケーブルを必要としたり、設置場所に制約がある場合があります。ワイヤレス圧力センサーは、そのような制約を必要とせず、設置したい場所に設置することが可能です。電源ソースは主にバッテリー内蔵型と自己発電型に分かれます。また、教育用として理科学実験に使用される製品もあります。
ワイヤレス圧力センサーの使用用途
ワイヤレス圧力センサーは、発電所、化学工場、石油精製所、食品加工施設など様々な産業用途で使用されています。
多くの産業設備における製造プロセスでは加圧ガスや加圧容器を使用しています。加圧リークの流出や加圧容器の膨張は、製造プロセスの安全な稼働を妨げる障害となり、圧力の監視は重要です。主な使用目的には下記のようなものがあります。
- ゲージ監視のオンライン化、リモート計測
- バルブ・弁の漏れ監視
- 配管・フィルター詰り監視
- ガス、液体流量計測
- タンクレベル計測
- ガス、液体フィルターモニタリング
- 工場におけるプロセスコントロール
また、ワイヤレス圧力センサーは、教育用としても利用されています。主な用途はボイルの法則や風船内の圧力の測定など、様々な物理・化学実験です。
ワイヤレス圧力センサーの原理
1. 測定機構
ワイヤレス圧力センサーは、気体や液体の圧力をダイヤフラムを介して、感圧素子で計測し、電気信号に変換し出力します。
半導体ピエゾ抵抗拡散圧力センサは、ダイヤフラムの表面に半導体ひずみゲージを形成する圧力センサーです。圧力によってダイヤフラムが変形して発生する、ピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化を電気信号に変換しています。ピエゾ抵抗効果とは、抵抗に加わった応力によって電気導電率すなわち抵抗率が変化する現象です。尚、応力によって起こる分極現象であるピエゾ効果とは異なります。
静電容量形圧力センサは、ガラスの固定極とシリコンの可動極を対向させてコンデンサを形成します。圧力によって可動極が変形して発生する静電容量の変化を電気信号に変換する仕組みです。
2. 動力源
ワイヤレス温度センサーの動力源には、バッテリー内蔵型や、自己給電・発電型の製品があります。バッテリー内蔵型では、ボタン電池や単3電池、単4電池、リチウム電池など、様々な種類があります。
また、バッテリーを必要とせず、自己給電が可能な種類の製品では、周囲の熱や振動などの発生源から周囲の廃エネルギーを収集して動作します。エネルギーソースには、温度差、振動、日光、磁場などが含まれます。バッテリーメンテナンスが不要となり、運用コストを削減することが可能です。
4. データの送受信
ワイヤレス温度センサーは、データロガーとのデータの送受信において、Wi-Fi、Zigbee、Lora、LoRaWAN、Bluetoothなどの各種無線通信を使用しています。製品や用途によって適したデータ通信方法が選択されます。例えば、LoRaWANは受信感度と電波干渉耐性に優れ、理想的な通信環境で10 km 以上の通信距離を実現することが可能であるため、作業エリアが広範囲に及ぶ場合に適しています。また、一部の製品ではスマートフォンを用いて状態確認が行うことが可能です
ワイヤレス圧力センサーの種類
ワイヤレス圧力センサーには、多くの種類があり、製品によって仕様や機能が異なっています。圧力レンジや、耐久温度など、適している用途は製品によって異なるため、用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。
1. データ管理
製品によっては、データをCSVで保存でき、統計的な設備の維持・管理が可能です。また、機械式圧力計に圧力センサと通信モジュールを搭載した製品では、通信出来ない状態でも、現場で圧力計の指示値を確認することで圧力値の読み取りが可能です。サンプリング周期も0.1秒単位や分単位など製品によって異なりますが、リアルタイムデータ表示が可能なものもあります。
2. 防水、防塵
防水規格のIP65を取得している製品は、水を扱う現場や屋外で使用することが可能です。多くの製品では腐食性のある気体・流体への使用ができませんが、一部の製品では汚染された水やスチーム、多少腐食性のある流体の計測も可能です。
防爆認証を取得している製品は、石油化学プラントや塗装工場、薬品工場などの可燃性ガスを取り扱う工場や設備の第一類危険箇所に設置することができます。