引張試験機

引張試験機とは

引張試験機

引張試験機とは、サンプルに引張荷重を加えた時の変化を測定する装置です。

引張により、応力とひずみが発生します。応力とひずみの関係から、引張応力、引張ひずみ、ヤング率、ポアソン比などが算出可能です。引張試験で得られるパラメータは機械的性質と呼ばれ、成型製品の強度や耐久性を把握するのに重要な役目を果たします。

引張試験機の使用用途

引張試験機は、主に力学的性質および機械的性質を確認するために利用されます。金属やプラスチック、ゴム、繊維などさまざまな材料試験に使用され、性能検査や品質検査を行う上で重要な試験の1つです。

また、筋肉、骨、皮膚などの生体組織の強度等を評価するために、引張試験が行われる場合があります。人工関節や人工心臓弁、ドレーンなどの医療機器の材料評価にも利用されている試験機です。

引張試験機の原理

引張試験機では、試験片に引張荷重を加え、材料が破断されるまでの結果を測定します。応力ひずみ曲線をプロットすることで、比例限度、弾性限度、降伏点、引張強度を算出可能です。

測定初期、中期、破断点による特徴的な応力とひずみの関係性は以下の通りです。

1. 測定初期

測定初期は、応力とひずみが比例します。比例関係が成り立つ限界点を、比例限度と呼びます。

2. 測定中期

比例限度から更に応力を加えると、ある点でひずみが残り続けるようになります。このとき、ひずみが残り続けない限界点を弾性限度と呼びます。

弾性限度を超えた点が降伏点です。降伏点を超えると、ひずみは残ったまま応力が下がります。

3. 破断

その後も引張を続けると応力が再度増加します。このときの最大応力を、サンプルの引張強度と呼び、最後は破断します。

ヤング率、ポアソン比などは、応力ひずみプロットを用いて計算することで得られるパラメータです。その他、得たいパラメータや用いる試験片の材料により、静的伸び計、動的伸び計、長尺伸び計などが使い分けられています。

引張試験機の種類

引張試験機にはさまざまな種類がありますが、現在市販されている試験機の多くは、油圧万能試験機と機械式万能試験機の2つです。

どちらも荷重検出にはロードセルを用い、電気出力を利用するため、伸び計から電気信号を取り出せば、荷重−伸び線図を容易に得られるという利点があります。

1. 油圧万能試験機

油圧万能試験機は、油圧により応力を調整することで、引張、圧縮、曲げなどの静的試験を行える万能試験機です。

2. 機械式万能試験機

機械式万能試験機は、サーボモータにより引張速度を定速化できることが特徴です。

引張試験機のその他情報

1. 引張試験機の単位

引張試験機は、測定値をロ―ドセルを使い応力を測定します。応力の単位はSI単位である「N」ニュートンです。ロードセルの容量によりmN、kNなどの単位が使われる場合もあります。

「N」ニュートンは、質量に重力加速度を掛け合わせた値です。 測定場所の重力加速度がわかっている場合は、ロードセルで質量 (㎏) を測定できます。

また、SI単位施行以前には「N」の代わりに「kgf」が使われていましたが、計量法の改定により1999年10月以降、日本国内では使用できなくなりました。

2. ヤング率

応力とひずみの比です。ヤング率は材料の曲げやすさ (にくさ) を示し、ヤング率が大きいほど硬くて曲げにくいことを示します。建材などで使われる鉄鋼は、ヤング率が大きい材料の1つです。

3. ポアソン比

力がかかる方向のひずみ (縦ひずみ) と力がかかる方向に対して、垂直方向のひずみ (横ひずみ) の比です。ポアソン比が0.5であれば、変形による体積変化がなくなります。ゴムのような材料では引っ張ると横幅が小さくなるので、0.5に近い値を示します。

4. JIS規格

引張試験には、材料に応じてさまざまなJIS規格があります。プラスチックの場合はJIS K 7164もしくはISO 527、ゴムの場合はJIS K 6251、金属の場合はJIS Z 2241が一般的に利用されています。

JIS規格に沿った試験を行うことで、公正な試験結果として扱うこことが可能です。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/testing-machine/material/tension.jsp
https://www.allied-material.co.jp/media/hard-metal/20190404
https://www.kabuku.io/guide/metal/steel/ss400/
https://www.instron.jp/ja-jp/our-company/library/glossary/p/poissons-ratio
https://info.shiga-irc.go.jp/public/data/130/102.pdf
https://www.unipulse.tokyo/techinfo/loadcetthowto/

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