監修:グレンエアジャパン
MILコネクタとは
MILコネクタとは、MIL規格に準拠したコネクタです。
MIL規格とは、アメリカ国防総省が調達する物資に対して定められている品質基準です。角形と丸形があります。MILコネクタは、米軍の航空機に搭載される電子機器接続用として開発された歴史を持ちます。現在では民生用途でも多く用いられますが、軍用コネクタとして開発された経緯から信頼性、堅牢性、耐久性が非常に高いつくりとなっています。
MILコネクタの使用用途
1. MILコネクタが使用される分野・領域
MILコネクタは、もともと米軍の航空機に搭載される電子機器接続用として1930年代に開発されました。現在では軍事用の他に民生用産業機器でも多く使用されており、航空宇宙、工業用、船舶用、自動車産業用などに使用されます。
主な用途には下記のようなものがあります。
- 各種軍事用途 (通信、ナビゲーション、レーダー、空中、海洋誘導制御)
- 航空・宇宙
- コンピュータ
- FA機器、工作機器、産業用ロボット
- 半導体製造設備
- 急速充電器
- ATM
- アミューズメント機器
- 建設機械
- プラント、発電所
- パワーコンディショナー
- 鉄道
- 計測機器、屋外通信機器
例えば、堅牢なMILコネクタと、ノイズの影響を受けない光ファイバー技術を組み合わせることによって、長距離の通信を行うことも可能です。高帯域幅能力を備えているので、音声、映像、データ等の種々の用途に利用することができます。
2. MILコネクタが特に有効である使用目的
MILコネクタは耐久性・堅牢性に優れていることから、特に下記のような目的で使用される場合に有効です。
- 振動や衝撃による断線や瞬断を防ぎ安定した通信を行う
- 結露や高湿度によるショートを避ける
- 信号と電源の配線を1本化する
- 多芯高密度による省スペースを図る
- メンテナンスができない場所で使用する
MILコネクタの原理
一般的なMILコネクタには丸形と角形とがあります。角形タイプは、フラットケーブルやその他のタイプのケーブルを圧着結線もしくははんだ付け結線してハーネスします。丸形の基本的な構成は、マルチピンコネクタと、内部にコンタクトインターフェースを持つ円筒形のハウジングです。他の多くの電気コネクタと同様に、オス側のプラグとメス側のレセプタクルを組み合わせて、信号の伝送が行われます。
MIL規格を満たす堅牢性を担保するため、丸形では下記のような加工・構造の特徴があります。
- ピンコンタクト: 導電性に優れた銅合金の丸棒を削り出して精密加工され、腐食と耐久性に強い金めっきが標準
- ソケットコンタクト: クローズドエントリー構造
- インサート: コンタクトの保持や位置決め、絶縁機能や機械的保護をする金属、ゴムやプラスチック
- シェル: 頑丈で堅牢なアルミニウム合金製やステンレススチール製など
また、適切なアダプタ(バックシェル)を付ける事でIP67の防塵防水性のクリアだけでなく、外部の電磁ノイズから保護するEMI/RFIシールド、機械的保護することが可能です。半田タイプだけでなく圧着タイプでも単体防水型になるようにグロメットシールが施されており、誤嵌合を防止するためにキー位置を指定することができます。
MILコネクタの種類
1. 概要
MILコネクタには角形と丸形とがあります。角形のものは、フラットケーブルやその他のタイプのケーブルの接続に使用されます。
芯数は製品によって様々な種類があり、最小では2、最大では187のものがあります。多くの製品でコンタクト間隔は2.54mmピッチです。
また、インサート配列が極めて豊富で、信号、電源、同軸、光ファイバの組合せ配列の種類が多いとされます。幅広いケーブルサイズに対応可能です。
2. 丸形MILコネクタの種類
丸形MILコネクタには様々な形状があります。コネクタの外殻であるシェル形状は、
- プラグ側: ストレート、アングル
- レセプタクル側: ウォールマウント、中継、ボックスマウント、ジャムナット、ガラスハーメチック
などです。また、コンタクトを保持する絶縁部品であるインサートの種類として、
- ソルダー (半田) タイプやクリンプ(圧着)タイプ
- メタルクリップリテンションタイプや絶縁リテンションタイプ
などに大別されます。
本記事はMILコネクタを製造・販売するグレンエアジャパン様に監修を頂きました。
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