木工プレス加工

木工プレス加工とは

木工プレス加工とは、プレス機などで圧力をかけて木材を加工する加工方法一般です。

木材を型に当てて曲げて成形したい場合や、パネルを製造する際、圧力をかけて強度・硬度を上げる加工 (圧密加工) や、引き出しなどの箱物を組む際などに用いられます。プレス機は、電子機器の部品、医療機器、ロボット製作、家具製作など、あらゆる製造に使用される機械です。木工では、合板の製造や、箱物の家具を製造する際に材料をプレスする際に使用します。

木工プレス加工の使用用途

木工プレス加工は、木材に圧力をかけて強度・硬度を上げる加工である圧密加工や、型に当てて曲げて成形する成型合板の製造、引き出しフレームの接着などの箱物製造などに用いられます。

特に成型合板は、美しい曲面・曲線を表現できるため、主に、デザイン性に優れた家具類を製造することに使用されます。家具以外にも内装材などに使用されますが、椅子類への使用が最も多いです。無垢材では表現できない、デザイン性の高い特殊形状の椅子の製造が可能です。

また、圧密加工は、木材の特性を生かしつつ、耐久性や表面の美しさを向上させる加工方法であることから、床材や壁材、家具として幅広く利用されています。

木工プレス加工の原理

1. 概要

プレス機を用いて行われる、プレス加工とは、素材に一定以上の力をかけることで変形が元に戻らない、「塑性」という性質を利用した加工方法です。「塑性加工」とも呼ばれます。

プレス機を用いて行われる木工加工には、圧力をかけて強度・硬度を上げる加工 (圧密加工) や、型に合わせて圧力と熱をかけることで曲げて成形する加工、箱物家具の接着などがあります。

2. 圧密加工

圧密加工とは、木材の表面に高温のローラーで圧力をかけ、熱圧処理を施すことで強度や硬度を高める加工です。この加工により、柔らかい針葉樹の木材にも広葉樹に匹敵する強度をもたせることができます。

圧密加工では、表面の細胞を1mmから1.5mmの範囲で圧縮し、強化します。桧の場合は普通の木材の1.5倍の、杉の場合は2倍の硬度を実現することが可能です。

3. 成型合板の製造

木工プレス加工のもう一つの役割には、成型合板の製造があります。

成型合板とは単板を何枚も重ねて接着した「積層合板」に対してプレス機で曲げ加工を施すことで製造されている合板です。薄くて軽量でも強度があり、繊細なデザインに適しているだけでなく、無垢状態でのクセ、反りなどを軽減し、ムラがなく均一な仕上がりにする効果もあります。

4. 箱物家具の製造

箱物家具の製造において、引き出しやフレームなどの接着には、プレス機が使用されています。

木工プレス加工の種類

1. フラッシュプレス

圧着させるためのプレス機の一つに、フラッシュプレスがあります。フラッシュプレスとは、複数のおもりをフラッシュ板の平面部分に乗せることで全体に均一に圧力をかけ、芯材に表面材を圧着させる機械です。熱をかけずに常温でプレス加工を行うことから、コールドプレスとも呼ばれます。フラッシュプレスは、複数枚積み上げまとめてプレスを行うことも可能です。

2. ホットプレスと高周波プレス

熱をかけながら行われるプレス加工の種類には、主にホットプレスと高周波プレスがあります。加熱を行うことから、フラッシュプレスよりも一般的にプレス時間が短時間になります。

ホットプレス機は、機械の熱を与えながら加圧を行うプレス機です。扱う製品に合わせて圧力や加熱時間を変え、蒸気によって接着剤を硬化させます。微妙な圧力の調整を行いながら同時に熱を加え、接着剤を硬化させ、強度を高めることが可能です。学校関係の椅子、机など量産品の製造を得意としています。

高周波プレス機は、木材に塗布された接着剤に高周波を加えることで接着剤を発熱硬化させるプレス機です。加熱高周波電力による誘電体損失に伴う発熱作用と機械加圧を利用し、曲面成形接着を行います。椅子の座板、背板などの薄い合板のものから、フレームのような厚い成型まで対応可能です。