成型合板とは
成型合板とは、薄い板材を重ね合わせて接着し、熱と圧力を加えて曲げて様々な形状に成型した合板です。
成形合板は、湾曲した椅子や家具などの製造に使用されることが多い板材です。薄くて軽量でも強度があり、繊細なデザインに適しています。型を使って合板を加圧成型し、多種多様な曲面デザインを製造することが可能です。
成型合板の使用用途
成型合板は、美しい曲面・曲線を表現できるため、主に、デザイン性に優れた家具類を製造することに使用されます。家具以外にも内装材などに使用されますが、椅子類への使用が最も多いです。無垢材では表現できない、デザイン性の高い特殊形状の椅子の製造が可能です。
その他具体例な用途例には下記のようなものがあります。柱などの角を丸くして安全面に考慮し、木材を利用する事で暖かい雰囲気の空間を作る建築素材として使用される場合もあります。
- 椅子・ソファ・ダイニングチェア・スツール
- テーブル
- トレー
- ダストボックス
- 建物内装
- 建物外装造作材
- 自動車内装部品
- 防潮堤などの波返し
成型合板の原理
1. 概要
成型合板とは単板を何枚も重ねて接着した「積層合板」に対して曲げ加工を施すことで製造されている合板です。薄くて軽量でも強度があり、繊細なデザインに適しているだけでなく、無垢状態でのクセ、反りなどを軽減し、ムラがなく均一な仕上がりにする効果もあります。
また、成型合板に使用する単板の歩留まりは丸太の60%と高いことから、環境にも優しい資材です。
2. 成型合板の製造工程
- 木材の選定・単板製造: しっかりと乾燥させた木材を薄さ1~1.5mmにスライスします。
- 木材のカット: 単板を製造する家具に合わせてカットします。
- 接着: 単板に接着剤を塗り重ね合わせます。強度を高めるため、木目が縦目、横目になるように重ね合わせますプレッダーと呼ばれる、糊付け専用の機械に単板を通して行われる場合や、手作業で行われる場合があります。
- 成型: 型にはめてプレス機で加圧し、成型します。
- それぞれのパーツを切り出します。
3. 成型方法
成型合板の成型方法には、主にホットプレスと高周波プレスがあります。
ホットプレス機は、機械の熱を与えながら加圧を行うプレス機です。扱う製品に合わせて圧力や加熱時間を変え、蒸気によって接着剤を硬化させます。微妙な圧力の調整を行いながら同時に熱を加え、接着剤を硬化させ、強度を高めることが可能です。学校関係の椅子、机など量産品の製造を得意としています。
高周波プレス機は、木材に塗布された接着剤に高周波を加えることで接着剤を発熱硬化させるプレス機です。加熱高周波電力による誘電体損失に伴う発熱作用と機械加圧を利用し、曲面成形接着を行います。椅子の座板、背板などの薄い合板のものから、フレームのような厚い成型まで対応可能です。
成型合板の種類
1. 材質・寸法
成型合板の木材には、ブナ材やカポール・ラワン等の南洋材などが使用されます。表面材には、シナ、ラワン材などが用いられる他、MDF・メラミン・ポリ板などの加工が可能な場合もあります。
ラワン曲げ合板には、3mm、4mm、5mm、9mm、12mmといった種類があります。大きさには、サブロク3×6(915×1825㎜)やロクサン6×3(1825×915㎜)などがあり、曲がる方向で呼び名が変わります。
2. 成型方法
成型合板の成型方法にもいくつかの種類があります。均一な厚みのまま曲げ加工を行う通常の等厚成型合板の他、コマと呼ばれる木片を挟み込んで曲線に分岐を作る成型する方法もあります。ホゾ組みやダボ組みといった各パーツを接合する方法と比較すると各パーツが一体化した成型フレームの製造が可能であるため、強度の高い製品を作ることが可能です。コマの使用は椅子の座部分への使用の他に、立ち座り時に握りやすくするための持ち手部分にも応用されています。
通常のコマの他、分岐点を多くすることができる大コマ入れ成型合板と呼ばれる種類の成型合板もあります。通常は1つのコマにたいして3つの分岐を行いますが、大コマは4つの分岐を行うことが可能です。
その他、成型時に入れていたコマを成型後に抜く成型方法や、成型型の端になるにつれて厚みを調整して成型する方法などもあり、様々な方法で自由なデザインの成型合板製品が製造されています。