炭塗料

炭塗料とは

炭塗料とは、各種炭を原料とした自然塗料です。

炭塗料とは、主にはパウダー状に加工した炭を成分として含む、水性塗料です。ホルムアルデヒド・エチレン・アンモニアをはじめとする種々の有害ガスを吸着する効果が期待され、シックハウス症候群対策に優れているとされます。消臭効果や調湿効果、防水効果、断熱効果などが期待され、屋内外に使用される塗料です。製品によっては、ホルムアルデヒドの発散量を表す等級において、F☆☆☆☆ (最も飛散量が低い) を獲得しています。

炭塗料の使用用途

炭塗料は様々な建築物に使用される塗料です。屋内外への仕様が可能であり、室内はもとより、外壁、建物基礎内部への塗布も行われます。台所、床下、玄関、天井板、梁、柱、洗面所、台所、浴室、エクステリアなど、幅広い用途での仕様が可能です。

実際の使用事例として、下記のような例があります。多くの事例は、炭塗料の質感や外見を生かす意匠としての利用や、空気環境浄化の機能を期待した利用などです。

  • 古民家改修における外装塗装
  • 鉄骨への塗装
  • 外壁・ブロック塀への塗装
  • 城外装塗装
  • 駅舎の内装及び外装塗装
  • 空気環境浄化とコンクリート保護延命を目的とした幼稚園や学校などへの塗装
  • 地熱を利用する全館空調建築に対する、空気環境浄化を目的とした床下への塗布
  • 焼き杉板など、呼吸する素材への自然塗布

鉄骨などの無機質の素材に塗布することで、木造のような温かみのある印象を与えることができます。

炭塗料の原理

1. 概要・組成

炭塗料は、パウダー状にした炭と、樹脂成分などを含む水性塗料です。炭と合わせて、炭素セラミック、銀系抗菌剤などが配合される場合もあります。炭には、主に備長炭が用いられますが、赤松木炭や竹炭が使用される場合もあります。樹脂にはアクリル樹脂などが用いられ、通常の合成樹脂エマルジョンペイント (1種規格など) と同様に使用することが可能です。

2. 機能・効果

炭の表面は無数の穴が空いた多孔質となっていることが知られています。この多孔質に化学物質や水、空気を吸着する効果により、炭塗料は様々な効果が期待されます。孔の大きさが揃っている程、優れた作用を示す素材です。

  • 有害ガスの吸着 (シックハウス症候群対策) : ホルムアルデヒド、エチレン、アンモニア、硫化水素、酢酸、キシレン、トルエンなどを吸着
  • 吸放湿効果 (調湿効果)
  • 調湿効果による室内のカビ・ダニ発生抑制 
  • 孔内の空気層による断熱作用
  • 建材中の水分除去による凍結破損抑制
  • 水分除去によるアルカリ骨材反応抑制
  • CO2遮蔽によるコンクリートなどの中性化防止作用

炭塗料の断熱作用によって、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことが可能です。居住空間の快適性を上げるだけでなく、水分除去や中性化防止などにより、建材やコンクリートの延命作用もあります。また、シロアリは炭を食べないことから、炭塗料を柱や建物基礎に塗布することによって防蟻効果も期待されます。遠赤外線放射による省エネルギーの他、有害電磁波の遮蔽、マイナスイオンの供給も期待される効果です。

通気性と防水性を兼ね備えていることから、台所や浴室などの水回りにおいても、吸放湿・防カビなどの効果を期待することができます。

炭塗料の種類

炭塗料は、複数のメーカーから販売されており、製品の種類があります。外装内装共に使用可能な製品が多いですが、内装のみ使用可能な製品もあるため、注意が必要です。

使用されている炭の種類では、備長炭、赤松木炭、竹炭などがあります。また、機能性や効果を高めるため、他の成分が添加されている製品もあります。添加剤として用いられる物質の例は、炭素セラミックや銀糸系の抗菌剤、ヒバ油などが添加されるなどです。

容量の種類は、16kg、4kgなどがある製品や、18kg一斗缶のみの製品のものなど製品によって異なります。用途や目的に合わせて製品を選定することが必要です。