防錆シート

防錆シートとは

防錆シートのイメージ

図1. 防錆シートのイメージ

防錆シートとは、金属などの対象防錆シートとは、金属などの対象物に対して錆を防ぐために用いるシートです。防錆紙とも呼ばれています。

防錆シートは、紙などの素材に、防錆効果を有している薬品を含浸させたり、塗布したりする加工を施すことで製造しています。錆を防ぎたい金属などの製品を、防錆シートで包むだけで対象物を容易に錆から守ることが可能です。 シート状になっているため、対象物の大きさや形状に合わせて自在に変形させ、簡易包装から密閉梱包まで簡単に行うことができます。

防錆シートの使用用途

防錆シートは、錆びやすい材質のものや、錆が発生しやすい環境下などで、対象物を長期間錆から守って保存したい時に使用されています。鉄鋼や、自動車など、錆によって品質上に問題が発生するような金属を扱う業界での使用が一般的です。

様々な大きさの製品の防錆に対応するため、小型の部品から大型の鉄鋼製品まで対応できる幅広い製品展開があります。製品によってばらつきはあるものの、おおよそ半年から1年ほど防錆の効果を期待することができます。ただし、使っていなくても防錆成分が気化して効果が薄れていくため、購入してから早めに使うことが推奨されています。

防錆シートの原理

防錆シートの原理

図2. 防錆シートの原理

防錆シートは、製造の際、原紙に防錆塗料が塗工または含浸されます。なお、防湿性が特に必要な製品は、ラミネーターでポリエチレンラミネート加工されます。

防錆シートが金属の錆を防ぐ原理は以下の通りです。

  1. シートに含有される防錆剤は、常温で徐々に気化 (昇華) し、蒸気はシートと金属の間の密閉された空間をすみやかに充満します。
  2. 気化した防錆剤が、金属表面の水分中に溶解します。溶解した防錆剤が物理的、化学的に分子またはイオンとして吸着することにより形成されるのが、「防錆被膜」です。
  3. 防錆被膜が、鉄を錆の原因となる外気から遮断し錆への変化を防ぎます。

この気化性防錆剤による防錆被膜は、膜厚が極めて薄く、吸着力も弱いため、金属表面に外観上の変化を与えることはありません。防錆包装後、表面を洗浄することなく直ちにの金属製品を使用することが可能です。また、気化性を利用した防錆であるため、即効性も期待できます。金属表面への防錆剤の吸着機構

図3. 金属表面への防錆剤の吸着機構

防錆シートは、錆を発生させる原因になる活性物質などが含有されていないことが大切な条件になります。したがって、シートにも、発錆の原因になる塩素イオンや酸が含まれていない素材を使用する必要があります。

防錆シートの選び方

防錆シートには、「鉄・鉄鋼用」などと表記された鉄専用の他、鉄・非鉄金属共用、亜鉛・鉄共用、・銅合金用などがあります。また、製品によって厚さ、幅、長さ、など、寸法も様々です。自分が使いたい金属製品の種類・大きさに合わせた製品を選びましょう。

塗工タイプは、長年多くの製品が使われてきましたが、防錆剤を紙の表面に塗って製造されているため、開梱時に防錆剤が製品に付着する場合もあります。一方、含浸タイプは、紙に防錆剤をしみ込ませており、そのような懸念はありません。現在では、特別な理由がない限り含浸タイプを用いることが多いです。

より高い防錆効果が必要な場合は、ポリエチレンラミネート製品が効果的です。外部からの水分や湿気の流入を防いだり、気化した防錆成分が外部へ流出することを防ぐ効果があります。

また、メーカーによってはプラスチック・ゴムの変色テスト結果を公表している場合があります。防錆したい製品にプラスチック部分がある場合は、調べてから購入するのが無難です。テスト用サンプルの提供を行っているメーカーもあるので、心配であれば活用すると良いでしょう。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/c-59413/
https://bouseishi.com/what/index.html
https://www.ryoko.co.jp/products/vci_paper/vci_paper_02.pdf

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