表面改質装置

監修:フロイント・ターボ株式会社

表面改質装置とは

表面改質装置とは、粒子の表面に物理的処理や化学的処理を施すことによって新たな特性や性質を付与することに用いられる装置です。

表面改質とは、固体の表面に物理的・化学的な処理を施して表面の性質を変えることを指します。表面改質装置は特に粒子表面に表面改質を施す装置であり、新規材料・素材の創製や、既存の材料の性能の向上をもたらす技術です。表面改質処理には下記に分類される種類の処理があります。

  • コーティング処理 (成膜化)
  • カップリング処理 (極性の異なる無機物と有機物を繋ぐ働きを持つ官能基を粒子表面に結合させる) 
  • 複合化処理 (母核となる粒子(母粒子)に別の粒子 (子粒子) を固定化する)
  • 球形化処理

粉粒体の物理的な処理による改質としては高分子の物理吸着,高分子の成膜による被覆(コーティング),微粒子の吸着・積層あるいは融合(粒子複合化)による被覆などをあげることができます。化学的処理としては,粒子表面での種々の化学反応による改質が可能です。この中には,懸濁法によるマイクロカプセル化も含まれます。一般的には,表面改質は表面活性を変化させると定義されますが,コーティング,マイクロカプセル化の例にみられるように,実際的には,種々の機能性をもたらす手法ととらえることができます。

これらの処理によって、親油性、親水性、伝導性、流動性などのさまざまな機能を粒子に付加したり、不定形粒子を均一に球形化したりすることが可能です。どの処理に対しても、ターゲット微粉粒子に対して均一な処理が施されます。

表面改質装置の使用用途

表面改質装置は、様々な産業分野における粒子の表面改質に用いられています。粒子に対して、濡れ性の改善、徐放性の制御、発色性の向上・改善、球形化に代表される形状制御、溶解性の促進、固溶体の調製、アモルファス化、などの効果が期待される技術です。

1. 医薬品

医薬品分野では、製剤において、分包材の細粒や顆粒、また、打錠用顆粒の製造に用いられています。また、健康食品についても、分包材用、乾式打錠用粉末の製造に利用することが可能です。

医薬品材料に表面改質装置を利用することにより、アモルファス化、溶解性の向上などの効果が期待されます。

2. 食品

食品産業では、粉体一般に表面改質装置が使用されています。表面改質装置を使用することのできる具体的な製品の例としては、下記のようなものが挙げられます。

  • 粉末スープ類
  • 小麦粉ミックス
  • ふりかけ食品
  • 調味料類・スパイス
  • 酵母豆乳
  • コラーゲン・澱粉・にがり
  • 健康食品や食品添加物

3. 化学

化学分野では、

  • 電池材料や電子材料
  • 化粧品材料
  • 化学肥料
  • 触媒・酵素
  • 粉体塗料・トナー・顔料
  • 樹脂 (ベークライト・メラミン・塩化ビニールなど)

などの表面処理に表面改質装置が用いられています。具体的に取り扱われる物質としては、
リン酸鉄リチウム、鉄粉、水酸化アルミニウム、水酸化ニッケル、カーボンブラック、酸化チタン、マイカ、タルクなどが挙げられます。

シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、酸化亜鉛、などを用いて、無機物のシランカップリングにも使用されている装置です。

表面改質装置の原理

1. 表面改質処理の概要

表面改質は、物理的方法で処理を行う方法と化学的方法で処理を行う方法とに大きく分類することができます。物理的処理を行う表面改質は、物理的な分子の吸着や成膜による被覆などを利用した方法です。化学的処理を行う表面改質では、粒子表面での種々の化学反応による改質を行います。

2. 表面改質装置の概要

表面改質装置は、溶媒などを用いる湿式と、溶媒を用いない乾式とがあります。例えば、乾式で物理的処理を行う装置では、高速の気流中に原料を分散させるなどの方法によって、衝撃力を主体とした力を用いて微粒子の表面を微粒子で表面改質・複合化を行います。また、この衝撃力により不定形粒子を均一に球形化処理を行う球形化処理も可能です。

加熱を伴う表面改質を行うことが可能な装置もあり、動作機構の一例は下記の通りです。

  1. 粉粒体を熱風中に噴霧し、分散させる 
  2. 温度350〜500 ℃の熱風により粒子の溶融を行う
  3. 表面張力により球形化・成膜化・固定化が成される
  4. 周囲から冷却エアが導入され、急速冷却される

この方法では、瞬間的な加熱・冷却が行われるため、材料の熱劣化が少なく、また、完全な分散状態で処理されるために粒子同士の造粒がないという利点があります。

表面改質装置の種類

表面改質装置には、様々な製品があり、用途に合ったものを選択することが必要です。前述の通り、乾式や湿式、加熱の有無などの種類があります。

装置によっては窒素ガスやアルゴンガスを用いた不活性ガス雰囲気中での処理が可能です。また、乾式の装置であっても、少量の溶媒を噴霧して使用することが可能なものもあります。動作機構も装置によって異なり、それぞれ逆方向へ回転するチョッパーとアジテータースクレーパーを用いて粒子を混合分散させるものや、熱風中に一方向的に粒子を分散噴霧するものなどの種類があります。多くの製品は、メンテナンス性の観点から、分解清掃が容易な構造です。

本記事は表面改質装置を製造・販売するフロイント・ターボ株式会社様に監修を頂きました。

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