アッベ屈折計

アッベ屈折計とはアッベ屈折計

アッベ屈折計とは、臨界角法により材料の屈折率を測定することができる装置です。

外観は顕微鏡に似ており、接眼レンズを覗いて目視で測定します。液体や固体などの試料を少量プリズム上に乗せ、プリズムからの出射光により生じた明領域と暗領域を観察することで、試料の屈折率を求めることができます。

光学フィルムや光学ガラスなどの光学材料の評価をすることができるので、光学機器のメーカーには必要不可欠な装置です。

アッベ屈折計の使用用途

アッベ屈折計は試料の屈折率を求めることができます。液体、固体、膜など様々な状態の試料を精度よく測定することができます。試料の屈折率を求めることで、フィルムやガラス、レンズなどの光学性能を評価することができるため製造メーカーや分析会社などで使用されています。

また、手持ち型の糖度計にも屈折計の原理が使用されています。糖度計では試料中のショ糖濃度を測定することができるので、野菜や果実の甘さを評価できます。

アッベ屈折計の原理

アッベ屈折計は顕微鏡のような外観をしており、プリズムの上に試料を置いて使用します。接眼レンズから覗くとプリズムからの出射光とその明暗を観察することができます。屈折率は温度によって変化するので、プリズムの周囲で恒温水を循環させるものもあります。

屈折率が大きい物質から小さい物質に向かって光が入射するときに、入射角がある一定の角度以上になると全反射します。このときの最小の入射角のことを臨界角といいます。試料よりも屈折率が高いプリズム上に試料を設置し、プリズムと試料の境界部分に光を照射すると境界面に平行に入射した光が臨界角で屈折します。

このときプリズムからの出射光を見ると、臨界角以上の領域とそれ以下の領域で光の強度に差が生じるため、明暗を観察することができます。この境界線を観察することで、試料の屈折率を求めることができます。具体的には、臨界角、プリズムからの出射光の角度、プリズムの頂角、プリズムの屈折率などから計算により求めることができます。

その他のアッベ屈折計の情報

1. 固体の測定方法

機種によっては液体だけでなく固体の屈折率も測定できます。ただし固体を測定する場合、プリズム面との接触面に凹凸があると正確な測定ができません。そこで、液体の場合と異なり、試料の研磨や中間液の使用が必要となります。

固体試料の分析手順は以下の通りです。

  1. 測定する固体試料をヤスリで研磨し、アッベ屈折計のプリズム面と接触する面を平らにします。固体試料が粉末の場合は、均一に粉砕します。
  2. 固体試料の研磨面に中間液を塗布します。中間液とは、プリズム面と試料の隙間を埋めるための液体です。モノブロモナフタレン、アニス油、サリチル酸メチルなどが使われます。固体試料が粉末の場合、中間液は不要です。
  3. 研磨面がプリズム面と密着するように固体試料を置きます。光源の種類を確認し、温度が安定してから分析を実施します。固体の測定は液体に比べ誤差が発生しやすいため、複数回測定し、概ね同等の値が得られることを確認します。

2. アッベ屈折計の波長

通常、試料の屈折率はナトリウムスペクトルのD線 (波長中央値589.3 nm) で測定します。しかし、機種によっては光源の波長を可視光や赤外線の範囲で変更し、波長ごとの屈折率を測定することができます。ナトリウムスペクトルのみで分析する場合よりも多くの情報が得られることが利点です。

光源の波長を変える仕組みは、光学フィルタで特定波長のみ透過させる方法、ナトリウム以外の励起元素 (水銀、カドミウムなど) を用いる方法などがあります。

一般的に波長の短い光ほど大きく屈折し、波長の長い光ほど小さく屈折します。そのためグラフの横軸に光源波長、縦軸に屈折率をとった場合、右下がりの曲線が描かれます。この曲線の形状は物質により異なるため、物質の種類の同定、不純物の有無の確認に利用できます。

また、屈折率が重要な管理項目となる素材の開発や検査において、複数の波長での屈折率を効率よく測定することができます。

参考文献
https://www.atago.net/japanese/new/products-abbe-top.php
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/37/10/37_10_768/_pdf
https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/bulletin/Vol6/1/V6N1P13.pdf
https://www.shimadzu.co.jp/products/opt/guide2/06.html
https://kikakurui.com/k0/K0062-1992-01.html

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