コンクリート壁とは
コンクリート壁とは、コンクリートで作られた壁に外装や内装をせずに、そのまま外壁や内壁として使用するものです。
一般的に、コンクリート打ちっぱなしと呼ばれています。コンクリートの素材の良さを生かし、都会的なイメージを演出することが可能です。
コンクリート壁の使用用途
コンクリート壁は、RC (鉄筋コンクリート造) やSRC (鉄骨鉄筋コンクリート造) の建物に対して、仕上げ方法の1つとして用いられています。
また、強度や耐火性能を必要とする危険物保管倉庫や立体駐車場のような、内装を必要としない場所でも見ることができます。スタイリッシュな印象を与えるだけでなく、機能性も高いため、最近ではコンクリート壁を好む人が多くいます。
コンクリート壁の特徴
長所
1. 仕上げコストがかからない
コンクリート壁で仕上げられているので、壁下地やクロスなどの内装材の工事費がかからない分、コストが抑えられます。モルタルなどで壁の表面を整える場合もありますが、それでも費用は安く収まります。
2. 空間を広く使える
壁や天井裏の高さがない分、部屋を有効に使える空間が広くなります。例えば、通常は壁であれば10cm程、天井であれば50cmほど壁・天井下地として利用されています。その分が無くなるため、背の高い家具や大きめのペンダントライトなどの配置が可能です。
3. 防音、耐火など性能がよい
コンクリートは防音・耐火性能に優れています。そのため、上の階や横の部屋の音はほとんど聞こえません。意図的に音を出せば振動で伝わりますが、話し声レベルでは聞こえることはないです。また、耐火性能が高いので、隣家で火事があった場合、コンクリート建物に延焼する可能性は低いため、建物が密集した都会向けとも言えます。
短所
1. 外気の影響を受ける
内装でコンクリート打ちっぱなしにすると、断熱材が使用されないため、外気の影響を受け夏は暑く、冬は寒いという室内環境になります。これは、コンクリートの性質として熱がこもりやすいためです。外気の影響を受けるため、空調にかかる電気代・ガス代がかかってしまいます。
2. 汚れがつきやすい、目立つ
外壁をコンクリート壁にすると、コンクリートの細かい目に汚れが入り込みやすいため、だんだん黒ずんできます。特に、幹線道路沿いは排気ガスの影響を受けたり、日当たりの悪い北側などではコケやカビなどが生えたりすることもあります。
3. 施工業者に技術力が求められる
コンクリート壁は打ちっぱなしと呼ばれるだけあって、型枠を外してしまうと修正ややり直しができません。そのため、施工業者によってはできないと言われたり、施工はできても寸法精度が悪かったりなど、コンクリート壁の出来栄えは施工業者の腕の差が非常に大きいです。
コンクリート壁のその他情報
1. コンクリート壁のメンテナンス方法
コンクリート壁は、シンプルさや都会的なデザイン性の高さで人気があります。しかし、外壁にコンクリート壁を採用する場合、塗装やタイルなど雨風や紫外線から守ってくれる仕上げ材がないため、10年ごとに定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンス方法としては、撥水材の塗布やコンクリートの質感をそのまま保護する無色透明な塗装材を使用したり、思い切って色付きの塗料を保護材代わりに塗ったりする方法があります。
2. コンクリート壁の仕上げ線
新築時の設計の仕様以外にも、リノベーションやリフォームの際にコンクリート打ちっぱなしを選ぶ場合もあります。その際、コンクリート壁には墨出しと呼ばれる作業でできた墨の線が書かれています。これは、施工会社が大工さんなどに作業の指示するために必要なものですが、あえてそのまま残す人もいます。
3. コンクリート壁の配管・配線
通常、壁や天井があれば電気や設備の配管・配線は、壁の中に隠れていますが、コンクリート壁の場合、構造上隠す所がないので配線・配管が露出になってしまいます。店舗などでは、取り回しにも気を配らないと、乱雑な印象になるため注意が必要です。