モノクロラミン

モノクロラミンとは

モノクロラミン (英: Monochloramine) とは、クロラミンとも呼ばれ、アンモニアNH3の水素原子Hを塩素原子Cl塩素で置換した一連の化合物のことです。

アンモニアNH3の水素原子を塩素原子で置き換えた化合物にはモノクロラミン (クロロアザン、NH2Cl) 、ジクロラミン (ジクロロアザン、NHCl2) 、トリクロラミン (塩化窒素、NCl3) の3種があります。しかし、単にクロラミンという場合には、通常モノクロラミンのことを指します。

モノクロラミンはアルカリ条件下で次亜塩素酸ナトリウムとアンモニアの反応によって得らル、化学式NH2Cl、分子量は51.47、融点は−66℃、無色透明の液体です。

モノクロラミンの使用用途

モノクロラミンの主な使用用途として、以下のようなものがあります。殺菌防腐剤や消毒剤、食品衛生法指定添加物などとして使用されるのが一般的です。

1. 飲料水の処理

モノクロラミンは、飲料水処理において細菌、ウイルス、および微生物の殺菌に使用されます。水道水や下水処理施設での消毒プロセスに適しており、飲料水の安全性を確保するために利用されることが多いです。

アンモニアと塩素を1対3の割合で同時に水中へ注入すると、モノクロラミンNH2ClやジクロラミンNHCl2を生じ、徐々に次亜塩素酸HClOを遊離して殺菌作用を現します。殺菌力は弱いですが、水中への残留効果が認められ、クロラミン法ともよばれています。

2. プールの水や浴槽水の処理

プールやスパの水処理において、モノクロラミンは消毒効果を提供し、水質を保ちます。モノクロアミンは塩素と反応して安定した消毒剤となり、水中の微生物の繁殖を抑制します。

3. 冷却水の処理

工業プロセスや空調システムで使用される冷却水の処理において、モノクロラミンは微生物の成長を防ぎ、冷却装置を清潔に保ちます。

4. 消防設備の消毒

ホース、水槽、噴水などの消防設備の消毒に利用されています。これにより、非常時に備える設備が清潔な状態を保つことができます。

モノクロラミンの性質

モノクロラミン (英: Monochloramine) NH2Clは化学的に安定したアンモニアの塩素化合物で、主に次のような性質があります。

1. 物理的性質

無色透明の液体ですが淡黄色を呈するときがあります。融点は−66℃、分子量51.47です。水によく溶け、溶解度は常温で、約20〜25g/水100mLです。

中性または弱酸性条件下の水溶液中で最も安定に存在することができます。塩基性条件下だと分解しやすくなります。また、光や熱に対して比較的安定です。

2. 消毒効果

モノクロラミンは、塩素と反応して塩化物イオンと窒素に分解します。この性質を活かし、細菌やウィルスを除去する消毒剤として利用されています。

3. 有害性

高濃度では、皮膚や目に対して刺激を引き起こすおそれがあります。そのため、過剰に用いることは有害とされています。モノクロラミンは塩素よりも安定です。そのため、消費者のもとに届くまで消散することがない等の性質があります。

水道等のバイオフィルム対策として使用されるモノクロラミンは、遊離塩素よりも化学的に安定しています。さらに、濃度管理が容易で有機物存在下でも有害な生成物を生じません。塩素の独特な塩素臭さのような臭いも発生させないという特徴もあります。

モノクロラミンは高いpH領域においてもレジオネラや宿主アメーバーなどに高い殺菌効果をもたらします。加えて、ヒトへの安全性も高いことが研究で示されました。これらの性質は、一般的に用いられている塩素による消毒との大きな違いです。

モノクロラミンのその他情報

モノクラミンの濃度

モノクロラミンの濃度は3mg/mL程度と決められています。この基準は2022年に厚生労働省より発表された「公衆浴場における衛生等管理要綱」に記載されています。

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