監修:株式会社Bb Wood Japan
準不燃木材とは
準不燃木材とは、無垢材に不燃薬剤を含浸させるなどの化学的な処理を施すことにより、国土交通大臣による準不燃材料認定を取得した木材のことです。
法令において、準不燃材料は「通常の火災による火熱を加えられた場合に、加熱開始後10分間燃焼せず、防火上有害な、変形、溶融、亀裂、その他の損傷を生じず、かつ避難上有害な煙又はガスを発生しない材料」であると定められています。
建築基準法では、公共性の高い施設や大規模建築などで壁・天井に燃えにくい材料を使用する規制 (内装制限) が定められています。こうした建築物では、通常の天然木を内装材として用いることはできません。
不燃木材のほうが準不燃木材よりも不燃性は高いものの、ごく一部の例 (11階以上や地下街において、区画面積500m2以上になる場合など) を除き、準不燃木材であれば十分に条件を満たしており、内装材として用いることが可能です。無垢材の風合いを活かして内装の意匠性を高める目的で、様々な建物に使用されています。
準不燃木材の使用用途
準不燃木材は、建築基準法による内装制限により、通常の木材を用いることのできない部分 (壁・天井) に内装材として用いられる建築材料です。建築基準法による内装制限の対象となるのは、公共性が高い施設や大規模建築物などが多いですが、身近なところでは、一般住宅におけるキッチンのコンロ周りも準不燃材以上の防火材料を用いるよう定められています。不燃材料を用いることが必要な施設の具体例としては、下記のようなものが挙げられます。
- 劇場・映画館・集会場・観覧場・演芸場
- 病院・診療所・児童福祉施設
- 高層ビルなどの大規模建築物
- 共同住宅
- ホテル・旅館
- 百貨店・飲食店・飲食店または物品販売店舗
また、準不燃木材は不燃木材よりも不燃性が低いものの、殆どの建築物では準不燃木材であれば使用することが可能です。不燃木材は不燃性の基準が厳しいため板厚が厚くなる傾向にありますが、準不燃木材であれば不燃木材よりも板厚を薄くすることができます。天井板、壁材、その他の意匠材・造作材などとして、意匠性を高める目的で用いられます。
準不燃木材の原理
1. 準不燃木材の製造工程の概要
準不燃木材は、主に桧や杉などを基材として製造されます。木材に対して、 薬剤を浸透させることで不燃化処理を行いますが、この処理には特に針葉樹が適しています。製造工程の大まかな流れは下記の通りです。
- 製材 (工法によっては乾燥と含水率の測定)
- 不燃処理: 不燃液を浸透させる
- 養生: 薬剤の定着、安定を促進するため、自然乾燥を行う
- 乾燥: 低温型の乾燥システムを用いるなどの方法で、素材に負担をかけることなく、無垢材の風合いを損なわないよう乾燥を行う
- 加工: 最終的な製品サイズ、形状へ加工
- 出荷
2. 不燃処理
不燃処理には、ホウ素系 (ホウ砂・ホウ酸など) やリン酸系 (リン酸アンモニウムなど) の薬剤が用いられます。浸透させる処理方法には、浸漬方式、減圧・加圧含浸処理などの方法があります。
浸漬方式は、薬剤と木中の水分の濃度置換作用を用いて、約10日ほどかけて不燃液を木材内部に浸透させる方法です。減圧処理では、密閉容器に木材を入れて減圧し、不燃液を浸透させます。加圧処理は、真空下で圧力をかけることで不粘液を浸透させる方法です。木材やコスト、設備に合わせて、適切な方法が選択されます。
尚、ホウ酸系の薬剤では防蟻効果も期待することができます。不燃液は一般にシックハウス症候群にも配慮され、安全なものが使用されています。
3. 不燃木材との違い
不燃木材は、「通常の火災による火熱を加えられた場合に、加熱開始後20分間燃焼せず、防火上有害な、変形、溶融、亀裂、その他の損傷を生じず、かつ避難上有害な煙又はガスを発生しない材料」と定められているため、準不燃木材より不燃性の基準が厳しいものです。そのため、板厚が厚くなったり、準不燃木材よりもコストが高くなる傾向にあります。
準不燃木材の中には、準不燃材料の下地材 (石膏ボードなど) と組み合わせることで板厚を6mm厚前後まで薄くし、施工性を高め、工期の短縮やコストダウンを図った製品もあります。このような製品は、リフォーム工事などにおいて、既存壁を活かしたまま施工することも可能です。
準不燃木材の種類
準不燃木材の板厚は一般に6mm~30mmなど、様々なものがあります。不燃性の基準がより緩やかであるため、不燃木材よりも板厚を薄くすることが可能です。板厚の薄い製品では、別途不燃材料の下地材が必要となることもあるので、注意が必要です。
羽目板の他、ルーバー材、枠材など様々な形状の製品が提供されています。内装制限のある建築物でも、壁、ルーバー、腰壁、天井などに杉、桧などの国産木材を用い、温かな風合いの空間設計を自由に行うことが可能です。
本記事は準不燃木材を製造・販売する株式会社Bb Wood Japan様に監修を頂きました。
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