硫化マンガン

硫化マンガンとは

硫化マンガンとは、マンガンと硫黄の化合物です。

閃マンガン鉱 (英: alabandite) やランバーガイト (英: rambergit) などの鉱物に存在します。一般的に硫化マンガンは、一硫化物や二硫化物の状態で存在しています。さらに、硫化マンガン (II) にはα,β,γの3変態があります。

似たような名称で硫酸マンガンがありますが、酸素を持っている、持っていないといった違いがあるため、全く別の化合物です。労働安全衛生法においては、マンガン及びその無機化合物に指定されているため、取り扱いには注意が必要です。

硫化マンガンの使用用途

硫化マンガンは、主に粉末冶金の分野で焼結部品の機械加工性を改良するための添加剤として利用されています。

粉末冶金とは、金属粉末を成型して焼結し、金属製品を造る製法のことです。この粉末冶金の製法で加工されたものには、洗濯機・扇風機・ハードディスクなどの小型モーター部品が挙げられます。

硫化マンガンの性質

  • 硫化マンガン (II) のα形
    緑色の立方晶系結晶です。融点は1,620℃で、反強磁性を示します。
  • 硫化マンガン (II) のβ形
    赤色の立方晶系結晶です。
  • 硫化マンガン (II) のγ形
    淡赤色の立方晶系結晶です。700℃ではp型半導体になります。

硫化マンガン (II) の中で、β形とγ形は不安定です。そのため、すぐ酸化されてα形に変化します。粉末冶金の分野で用いる際には、安定しているα形を使用します。

それに対して硫化マンガン (IV) は、黒褐色の立方晶系結晶です。反強磁性を示します。

硫化マンガンの構造

硫化マンガン (II) の化学式はMnS、分子量は87.00です。硫化マンガン (II) のα形は、塩化ナトリウム型構造を取っています。Mn-Sの距離は0.261nm、密度は4.05g/cm3です。

硫化マンガン (II) のβ形は、せん亜鉛鉱型構造を取っています。Mn-Sの距離は0.243 nm、密度は3.27g/cm3です。

硫化マンガン. (II) のγ形は、ウルツ鉱型構造を取っています。Mn-Sの距離は0.241nm、密度は3.26g/cm3です。

その一方で、硫化マンガン (IV) の化学式はMnS2、分子量は119.07です。黄鉄鉱型構造を取っています。密度は3.463g/cm3、Mn-Sの距離は0.259nm、S-Sの距離は0.209nmです。

硫化マンガンのその他情報

1. 硫化マンガン (Ⅱ) 生成方法

硫化マンガン (II) は、一硫化マンガン (英: manganese monosulfide) とも呼ばれています。天然で硫化マンガン (II) のα形は、閃マンガン鉱として産出します。閃マンガン鉱とは、立方体構造の硫化マンガン (II) を含んでいる鉱物です。

閃マンガン鉱は、硫マンガン鉱やアラバンド鉱とも呼ばれています。少量のシュウ酸カリウム存在下で、塩化マンガン (II) 水溶液を沸騰させ、やや過剰のアンモニア水を加えて、硫化水素を通じると、硫化マンガン (II) のα形を得ることが可能です。硫化マンガン (II) のβ形は、酢酸マンガン (II) 水溶液に、冷時硫化水素を通じると生成します。

硫化マンガン (II) のγ形は、塩化マンガン (II) 水溶液を煮沸して、塩化アンモニウムを加え、硫化水素を通じながら、アンモニア水を加えることで、沈殿として得ることが可能です。

2. 硫化マンガン (IV) の生成方法

硫化マンガン (Ⅳ) は二硫化マンガン (英: manganese disulfide) とも呼ばれています。天然ではハウエル鉱 (英: hauerite) として産出します。硫酸マンガン (II) 水溶液に硫黄と多硫化カリウムを加え、封管中で加熱することで、硫化マンガン (Ⅳ) を得ることが可能です。

硫化マンガン (Ⅳ) は加熱すると、分解して硫黄を放出します。硫化マンガン (Ⅳ) は塩酸と反応し、塩化マンガン (II) を生成します。

参考文献
https://www.kojundo.net/category/C_SS/MNI09PB_ASK.html?__pc_site_mode=pc

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