パネルPCとは
パネルPCとは、産業用コンピュータに位置付けられる形態で、タッチパネルで操作が可能な薄型のパソコンです。
主な操作がタッチパネルなので、普段パソコンを使用しない人でも直感的に使用することができます。最近では病院、受付、コンビニ、カラオケ店、飲食店など多くの場所で導入されています。
防水性や防塵性が高いモデルも多く、通常のパソコンでは導入が難しかった箇所でも利用可能です。具体的には、厨房や工場など、ほこりや水滴が多い場所で利用されるようになりました。
パネルPCの使用用途
パネルPCは、視認性に優れた表示と簡単な操作性が求められる用途に使用されます。産業用機器の操作パネルとして組み込まれたり、オーダーや予約、生産管理、受付といった場所の端末として利用されたりしています。
コンビニのコピー機やチケット予約などのキオスク端末もパネルPCです。居酒屋やファミレスといった飲食店でも注文にパネルPCが採用され、身近な機器となりました。
パネルPCの導入により、客の注文が即座に厨房のパネルPCに表示されるので、注文をすぐに把握することができます。
パネルPCの原理
パネルPCは、タッチパネルモニターとCPUを一体にすることでスリムな形状を実現したコンピュータです。使用用途に応じて搭載するCPUのスペック等を選択します。また、モニターのはLCD-TFT液晶が多いです。
1. タッチパネル
タッチパネルの方式は、主に抵抗膜アナログ方式や投影型静電容量方式が採用されています。
抵抗膜アナログ方式
抵抗膜アナログ方式は、向かい合う2枚の透明電極が隙間を空けて配置されます。パネルをタッチすると、2枚の透明電極が接触し電流が流れます。接触した位置によって流れる電流が異なることを利用し、タッチした位置を特定します。
非導電性物質でもタッチを検出可能です。また、タッチ面にホコリや水滴が付いてしまう環境にも強いです。なお、マルチタッチには対応できません。
投影型静電容量方式
投影型静電容量方式は、容量結合で電界が発生している電極膜をパネルに貼り付けています。電極膜に導電性の人差し指などが近づくと電極間の容量結合が変化します。
この容量結合の変化からタッチした位置を特定します。スマートフォンなどで広く使われている方式で、マルチタッチが可能です。
2. 防水・防塵
各種のジョイントを小さくして、ゴムやガスケットで密閉することにより、防水・防塵を実現しています。IP65/66/69規格に適合している製品もあります。
パネルPCの種類
パネルPCには、取付方式により以下のような種類があります。
1. パネルマウント
機器のパネルや壁などに取り付けることを前提とした筐体になっています。
2. VESAマウント
VESA規格のネジ穴が用意されていて、VESA規格に対応したスタンドやアームなどを利用して取り付けることができます。
3. オープンフレーム
外側に内部のパーツを保護するフレームがなく、基板やモニターなどがむき出しで提供される形態です。パーツとして機器などの組込に使われます。
4. デスクトップ
自立型の筐体を持つモデルです。
その他、パネルマウントやデスクトップにもVESA規格のネジ穴を持つモデルや医療用の電磁妨害に関する国際規格である60601-1-2に適合し、アルコールなどの消毒に耐える仕様になったモデルもあります。
また、熱を逃がしやすいアルミヒートシンクを使用し、ファンレスにした静音タイプのモデルもあります。
パネルPCの選び方
パネルPCを選ぶ際に考慮すべきポイントを説明します。
1. タッチパネルの操作
手袋をしたまま操作する環境では、抵抗膜アナログ方式のタッチパネルを採用したモデルを選択します。
2. 使用環境
ホコリや水滴が付くような環境で使用する場合は防水・防塵姓のあるモデルを選びます。
3. 使用用途
機器組込として利用する場合はパネルマウントもしくはオープンフレーム、自立した端末として利用する場合はVESAマウントもしくはデスクトップにします。
4. 静音性の有無
パネルPCを使用する環境によっては、静音性が必要な場合があります。例えば、病院や図書館などでは、静音性が求められます。このような場合、ファンレスのパネルPCを選ぶようにします。
5. 利用するソフトウェア
パネルPCで動作させるソフトウェアに対応したOSが選択できるモデルを選びます。