GPIB

GPIBとは

GPIB (General Purpose Interface Bus) とは、情報機器間の信号のやり取り (いわゆるインターフェイス) 手段としての通信規格の一つのことです。

GPIBケーブルは計測器の制御用のPCと計測器間の接続に、しばしば使われています。GPIBの発端は1960年代に考案されたヒューレットパッカード (HP) 社の社内規格で、その後USA電気電子学会IEEEに1975年に承認され、現在はIEEE488及びIEEE488.2という国際標準規格です。

計測器の多くは、このGPIBによる情報のやり取り手段を標準で搭載し、PCと他の情報機器を使用した計測システムなど、あらゆる機器との通信において汎用的に使用されています。PC側にGPIBインターフェイスが一つあれば、通信速度の異なる機器でもPCを含め最大15台まで接続することが可能です。ただし、この場合全体の通信速度は速度がもっとも遅い機器に依存します。

GPIBの使用用途

GPIBは、PC (パソコン) でのソフトウエア制御で動作可能な計測機器に接続し自動制御を行い評価するために、従来の機種を中心に広範囲に使用されています。

GPIBは耐ノイズ性に優れ、信頼性の高い通信が可能です。製品の特性評価で基準となる電気的特性を評価することを目的として、 (厳密な制御を必要とする) 測定機器によく採用されています。例えば、電気化学計測や、表面処理技術などではファンクションジェネレータとエレクトロメータを組み合わせて電位や電流の計測を行います。

低価格帯の測定機器ではシリアル通信のRS-232Cが搭載されていることが多いですが、ハイエンドの機器では信頼性が高く高速通信が可能なGPIBが採用されているケースが多いです。

GPIBの原理

GPIBの原理は、その利便性確保のために、複数の機器をスター接続ないしはデイジーチェーン接続し、ケーブルを接続するだけで、ノイズ耐性に優れた測定器の相互間での高速な通信制御が可能な点にあります。例えば、他の通信規格であるRS-232Cでは、別途インターフェイスを設けるかスイッチングハブのようなものを用意する必要があります。

これを実現しているのは、GPIBの特殊なコネクタ形状です。プラグとレセプタクルが一体になった構造をしており、8本のデータバスと5本の管理バス、3本のハンドシェイクバスからなる16本の信号線で構成されています。GPIBを介して接続された機器の中でデータを発信する機器を「トーカー」と、受信する機器を「リスナー」と呼びます。

一台の機器がトーカーとリスナーの役割を両方担うことはできますが、同時にはできません。この場合、送信と受信を交互に切り替えることで通信が行われます。このようなトーカーとリスナーを指定する役割を持った機器のことをコントローラーと呼び、一般的にはパソコンがこの役割を担います。コントローラーとのデータやコマンドのやり取りはASCII形式で行われます。

その中でGPIBボードが果たす役割は、GPIBのバス通信線上で機器同士のデータ衝突を防ぐ機能です。この役割において、データを送信できるデバイスを1台だけに制限して実用化したのがGPIBボードコントローラであり、常に決まったルーチン動作を行っています。

GPIBのその他情報

1. LANやUSBとの比較

昨今はLANやUSBといった通信規格においても、測定器の制御が実施できるような新機種が増えています。特にLANでは、GPIBの制限である、最大15台の通信接続台数や4mという測定器間の距離の制限はなく、例えば異なる拠点間のリモート接続での測定評価やオンライン勤務での自宅から実験室へLAN接続し、測定評価することも実施可能です。

一方USBではハブの併用で最大127台の接続が実施できますが、接続に関しては最も簡便であり、IPアドレスなどの通信に関する知識がなくても、USBケーブルを接続するだけで通信制御が可能になる利便性が魅力です。とはいえ、LANもUSBも測定器業界では比較的新しい機種での対応が主になっているので、従来の測定器では未対応のものもあり、評価したい項目と機種によって使い分ける必要があります。

通信速度はUSB2.0やLANの高速バスが優れますが、一般に測定器の測定とデータ処理に要する処理速度の方が速度を律束する場合が多いです。特に、データ量が多いスペクトラムアナライザなどでの変調波形の処理などは、バスの速度の有意差が顕著になってきます。

2. IEEE488とIEEE488.2

IEEE488.2はIEEE488を包括する上位規格です。IEEE488では、コマンド (指令) やデータのフォーマット、クエリ (問い合わせ) などの規定はなく、基本的な通信プロトコルや電気的、機械的な通信インターフェイスの仕様のみの規定でした。

IEEE488.2は、IEEE488の上位規格として、コマンドやデータフォーマットなどの規定もなされており、より測定器や情報機器間の通信規格の色合いを濃くしたものになっています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj1970/34/12/34_12_474/_pdf
http://www.interface.co.jp/download/tutorial/tut0041_14.pdf
http://www.aim-ele.co.jp/products/gpib/
https://www.contec.com/jp/support/basic-knowledge/daq-control/gpib-communication/

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