ステンレス滑車

監修:浅野金属工業株式会社

ステンレス滑車とは

ステンレス滑車とは、ステンレス鋼で作られた滑車です。

耐食性があり、錆びにくい特性を持っています。このため、湿気や外部の環境要因にさらされる場所や、海洋環境などの塩害による腐食性の高い場所で使用されることが多くあります。

滑車は、車輪 (シーブ) 中央の溝にロープやケーブルが通るようになっていて、使うことで荷物を持ち上げる際に、ロープやケーブルを引っ張る力がかけやすくなります。クレーンやウィンチなどの産業機器での用途が一般的ですが、サイズのバリエーションが多く、様々な分野で使用されています。大きいサイズのものは強度も高いため、高い負荷を扱う場合にも適しています。

ステンレス滑車には許容される最大荷重があり、滑車を使用する際には必ずこの負荷制限に収まっていることを確認します。使用前に摩耗や変形などの損傷をチェックし、必要に応じて修理または交換を行って使用します。

ステンレス滑車の使用用途

ステンレス滑車は、耐食性と耐久性が良いことから様々な使用用途で利用されています。

1. 船舶

塩水との接触や潮風に晒される海洋環境での耐性が高いため、貨物舶での貨物の積み降ろしや、アンカーの持ち上げ、漁船では網やフェンダーなどをロープで引き揚げる時に使用されます。また、船舶では荷物や貨物を運搬するためにタックルや索具が必要なため、荷物の制御や持ち上げの際の治具として使用されます。

2. 電気設備業

鉄塔や電柱などのメンテナンスの際に、ケーブルや配線などの資材の引き上げるために滑車が使用されています。屋外の高所作業のため、耐久性・耐候性もあるステンレス製が重宝されます。

3. 建設業 (海上・洋上) 

建設現場では、建設材料や機器の運搬に使用されます。クレーンやリフティング装置に組み込まれ、重い物品を持ち上げます。特に湿気や塩害の影響がある海上・洋上などでの作業においては、ステンレス滑車が有利です。

4. アウトドア

登山家やロッククライマーは、ロープを引っ張るために滑車を組み込んだ器具を使用します。救助作業などに使用されることもあります。ステンレス滑車による耐久性・耐候性で使用者の安全性を高めます。

ステンレス滑車の原理

ステンレス滑車の原理は非常にシンプルです。

円筒状の車輪の中央に溝があり、この部分にロープやケーブルを通し、一端を固定しつつもう一端に負荷(物品など)を取り付ける仕組みです。車輪を回転させることでロープやケーブルがスムーズに滑り、物体を持ち上げる際に生じる摩擦を削減します。

また、滑車を介して一方の側にかかる力を反対側に伝え、物体を持ち上げるための力を伝達させることで負荷の方向を変え、重力を利用して持ち上げることができます。

そのため、滑車を使用することで使用者が物品を持ち上げやすくなります。また、滑車の数を増やす (動滑車と組み合わせる) ことで、同じ負荷を持ち上げるために必要な力を軽減させることもできます。

ステンレス滑車の選び方

ステンレス滑車を選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。

1. 固定・吊り

滑車には固定滑車と吊り滑車があります。固定滑車は滑車本体が固定された滑車です。吊り滑車は、一定の位置から吊り下げて使用する滑車です。

2. サイズ

用途によって適性サイズが変わります。サイズが大きな滑車は使用荷重も大きく、重い物体を持ち上げるのに適しています。小さな滑車は軽い負荷や細いロープに合うので、ネットやシートの開閉、ほかではヨットやレジャーボートなどに使用されることもあります。また、使用スペースに合わせてサイズを選ぶことも重要です。

3. 使用荷重

使用荷重とは、安全に使用できる荷重のことです。ステンレス滑車における使用荷重は、滑車を使って持ち上げる際に必要な最大の負荷を示します。安全に使用するために、滑車の使用荷重は負荷よりも大きいことが必須です。適切な使用荷重を確認し、適したものを選択します。

4. 形状

滑車の形状も様々です。取り付け部分がフック式や回転式、本体部分が開閉できるスナッチ仕様、ロープを複数本通すことができる2車・3車仕様など、用途に合わせて選ぶことができます。また、滑車本体だけでなく、車輪 (シーブ) の形状もU字型やV字型などがありロープやケーブルのバリエーションに対応します。

本記事はステンレス滑車を製造・販売する浅野金属工業株式会社様に監修を頂きました。

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