珪藻土壁紙

珪藻土壁紙とは

珪藻土壁紙

珪藻土壁紙とは、珪藻土が塗られた壁紙のことです。

珪藻土は植物プランクトンの一種である珪藻 (ケイソウ) の殻が、混入物がほとんど含まれない状態で陸から離れた海底や湖底に降り積もってできた堆積岩です。未固結のものもありますが、岩石となったもの (珪藻頁岩) も珪藻土という名で販売されていることがあります。

珪藻土壁紙の使用用途

珪藻土壁紙は特に湿気によるカビの発生や、臭いを抑えたい場所、例えば寝室や居間などで使用されます。ただし、単位面積当たりの珪藻土量が少ないので、激しい結露の予想される箇所での使用は避けるべきです。

粘着性の無い珪藻土に糊などを混ぜて紙に塗り付けたものなので、吸湿能力を超える結露があるとカビが発生したり、壁紙そのものが損傷したりする可能性があります。一般的なビニールクロスと比較すると、伸縮性が少ないため継ぎ目が目立ちやすく、施工する際は専門の業者に依頼した方が無難です。

珪藻土壁紙の特徴

珪藻土のH2O吸着曲線

図1. 珪藻土のH2O吸着曲線 (概念図)

長所

珪藻土の材料は珪酸を主成分とする岩石であるため、耐火性に優れています。主体となっている珪藻の殻の化石にある無数の細孔は、気体分子や水の分子を吸着するのに適した大きさです。珪藻土は湿度70%以上になると水の吸着量を急増させ、湿度が下がれば吸着した水を放出するという特性をもっています。

細孔の機能

図2. 細孔がもたらす珪藻土の機能

そのために、珪藻土を塗った壁は湿度を一定に保つ効果と、悪臭物質でありシックハウス症候群の原因ともなるホルムアルデヒドトルエンなどの有害ガスを取り除く効果を発揮します。また、珪藻土を壁面材料として使用するには、直接塗って珪藻土塗壁とする方法がありますが、粘着性のない珪藻土を扱うには配合材料の選択や塗り方のノウハウなどを熟知したプロに依頼する必要があるため費用が嵩みます。

それに対して、あらかじめ珪藻土が塗られた珪藻土壁紙であれば、珪藻土塗壁に比べて施工費用を大幅に抑えることが可能です。

短所

壁材の吸放湿特性

図3. JIS A6909の評価基準に基づく壁材の吸放湿特性

珪藻土壁紙は珪藻土塗装よりも施工費用が大幅に抑えられますが、その分珪藻土塗装の効果は落ちてしまいます。建築用仕上塗材の吸放湿性試験規格 (JIS A6909) では1㎡に塗り広げられた試験体が、湿度を45%と95%に1日おきに変化させた時に吸放湿する水分量で調湿性能を表します。調湿建材と称して販売するには、その値が70g/㎡/日以上でなければなりません。

製品によりバラつきはありますが、珪藻土塗壁の調湿性能が約200g/㎡/日であるのに対して、珪藻土壁紙は80g/㎡/日程度です。いずれも調湿建材ですが、数値は半分以下となります。

珪藻土壁紙の選び方

調湿性能、有毒ガス吸着性能、断熱・防火性能などは珪藻土塗壁より低いですが、施工した壁を塗壁のように見せる効果があります。そのため、自然由来の無機素材の外観を好む、かつ予算を押さえたい方におすすめです。

しかし、同じ珪藻土壁紙 (あるいは珪藻土クロス) と銘打って売られている商品であっても、その調湿性能などには大きな差があります。外観と性能はもちろん重要ですが、施工あるいは修復のしやすさなど、見た目やカタログの説明では判別できない要素も多いです。ゼオライトなど珪藻土以外の成分と調合して性能を高めたと謳うものや、光触媒である酸化チタンを配合して防汚・防黴効果を持たせたと宣伝されているものもあります。

これらの性能に期待して選択する場合は、性能の根拠が明らかにされているものを選ぶことが重要です。まずはカタログや紹介記事などを参考にして、自分の目的に沿う性能を持つ候補をいくつか選び、不明な点などをメーカーに直接問い合わせるのが良いでしょう。いずれの製品もメーカーが工夫をこらして作り上げたもので、それぞれの特徴を最も良く理解しているのはメーカーだからです。

また、施工業者や既に珪藻土壁紙を使用しているユーザーの意見を伺う機会があれば、それを逃す手はありません。どのような建築材料であっても、施工済みの現場で実物を見たり、ユーザーの意見を聞いたりすることが有効な判断材料となります。

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