板葺き

板葺きとは

板葺き (いたぶき) は、屋根を板で葺くという葺き方や、その屋根自体のことです。

日本建築では、板の寸法や形状、葺き方によって、「柿葺き」「木賊葺き」「栩葺き」「長板葺き」「木瓦葺き」「石置き板葺き」などといった板葺きの種類があります。

「柿葺き」は、「木羽葺き」とも呼ばれており、長さ30cm前後・厚さ3mm前後のサワラやスギの手割り板を、竹釘を使って細かく葺くもので、板葺きの中では、最も高級で質が良いとされています。現在では、金属板で屋根を覆う「金属板葺き」が多く、トタン・ブリキ・アルミなどが使用されています。さらに、最近では、・ステンレス・チタンなどの利用も増えてきています。

板葺きの使用用途

板葺きは日本の伝統的な建築物に広く使用されています。例えば柿葺きは、中世以降に社寺建築や書院・客殿に用いられており、代表的な例としては、桂離宮の書院が挙げられます。柿葺きは杉板を重ねて葺く伝統的な工法で、通気性と耐久性に優れ、和風建築特有の深い趣を醸し出します。

一方、金属板葺きについては瓦葺きと比べて軽量で、かつ、低コストであるといった理由から、一般住宅に広く利用されています。一般住宅で用いられる際には、素材として鋼板やアルミが頻繁に使用されています。これらの金属材料は防水性や耐候性に優れ、寒冷地や強風地域でも安定した性能を発揮します。

また、金属板葺きの中でも、銅板葺きについては神社・仏閣で使用されることが多く、経年の影響で、銅が緑青になった建築物が多く見られます。この緑青化は銅板特有の自然な酸化現象であり、時を経るごとに深みを増す独特の風合いは、歴史的建造物の価値を一層高めています。

板葺きの種類

板葺きには、以下のような種類があります。

1. 柿葺き (こけらぶき)  

サワラやスギの手割り板を竹釘で細かく葺いたものです。最も高級で質が良いとされます。

2. 木賊葺き (とくさぶき) 

木賊 (トクサ) の葉を編んで葺いたものです。古くから茅葺きの代用として用いられてきました。

3. 栩葺き

栩 (トチノキ) の樹皮を用いて葺いたものです。軽量で耐久性に優れています。

4. 長板葺き

長さ1m以上の板を葺いたものです。比較的簡易な工法で、施工が簡単です。

5. 木瓦葺き

木製の瓦状の板を用いて葺いたものです。瓦葺きに似た外観を持っています。

6. 石置き板葺き

板の上に石を置いて葺いたものです。石の重みで風雨に耐えます。

7. 金属板葺き

トタン、ブリキ、アルミ、銅、ステンレス、チタンなどの金属板を用いて葺いたものです。軽量で持ち運びやすくなっています。

板葺きの構造

板葺きの構造は、以下のような要素で構成されています。

1. 下地

下地は、屋根の骨組みとなる部分で、垂木と野地板で構成されます。垂木は屋根の勾配に沿って並べられ、野地板はその上に張られます。

2. 防水層

防水層は、下地の上に敷かれ、屋根材の下に水が入り込まないようにする層です。ルーフィングペーパーやアスファルトルーフィングなどが用いられます。

3. 屋根材

屋根材は、柿板、金属板など、実際に屋根を葺く材料です。下地と防水層の上に並べられて固定されます。屋根材の種類によって、葺き方や固定方法が異なります。

4. 固定材

固定材は、屋根材を下地に固定するための材料です。釘、ビス、クリップなどが使用されます。屋根材の種類や下地の材質に応じて選択できます。

板葺きの選び方

板葺きを選ぶ際は、以下の点に注意が必要です。

1. 耐久性

屋根材の耐久性を確認し、長期的な使用に耐えるものを選ぶ必要があります。材料の耐久年数や、過去の使用実績などを参考にすることも大切です。

2. 耐風性

強風に耐える屋根材と適切な固定方法を選ぶことが重要です。特に、台風などの強風が多い地域では、耐風性の高い材料と工法が求められます。

3. 耐震性

地震に耐える構造と材料を選び、屋根の軽量化や、適切な固定方法の採用が重要です。

4. 防水性

雨水の侵入を防ぐため、適切な防水層と屋根材を選ぶことが重要です。材料の吸水率や、防水層の性能を確認する必要があります。

5. コスト

予算に合った材料と工法の選択が重要です。初期コストだけでなく、メンテナンスや修繕時のコストも考慮することも大切です。

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