ガイドブッシュ

監修:株式会社CJVインターナショナル

ガイドブッシュとは

ガイドブッシュとは、精密部品の加工に使用する主軸移動型自動旋盤において、ワーク (被加工物) を正確に保持するために使用する治具です。

自動旋盤は、チャックで材料を掴んだ主軸を回転させながら、刃物で切削加工を行う機械です。自動旋盤には主軸がZ方向に移動しながらワークを刃物に当てて切削加工する主軸移動型の自動旋盤と、刃物の方を移動させながら切削加工する主軸固定型の自動旋盤があります。

両方の自動旋盤共に、チャックで材料を掴んでいる場所から刃物までの距離が長くなると、たわみや振動によるブレが大きくなり、精密な加工ができにくくなります。そのため、主軸移動型の自動旋盤では切削加工点の近くで、材料を保持してより高精度な加工を実現できます。この治具のことをガイドブッシュと呼びます。

ガイドブッシュの使用用途

ガイドブッシュは主軸移動型の自動旋盤において、材料を正確に保持するために使用され、切削加工の精度を上げるために使用されます。しかし、主軸移動型の自動旋盤において必須の治具ですが使用しない場合もあります。

主軸移動型の自動旋盤は、細くて長い精密部品の加工に適した旋盤です。自動旋盤は時計の精密部品を加工するために、スイスで誕生したことから、スイス型自動旋盤と呼ばれています。材料を保持するチャックと刃物が当たる部分との距離が長苦なる製品形状や、材料自体が細くてたわみやすい場合等にガイドブッシュが役立ちます。ガイドブッシュを使用した加工により、時計部品をはじめ、医療機器や航空宇宙部品、自動車部品など多くの産業分野で採用されています。

ガイドブッシュの原理

ガイドブッシュは基本的に円筒形をしており、スイス型自動旋盤の加工店の直前に取り付けます。内径は円筒形の他には四角形や六角形のものもあります。材質は鋼材に超硬を貼り付けた物が主流ですが、中にはセラミックやサーメットを貼り付けた物もあります。

取り付け部分は、ガイドブッシュの終端部がテーパーになっていて押し込むタイプや、ネジが切ってあり、ねじ込むタイプなどがあります。また、ネジ穴が空いたフランジが付いているものもあり、このタイプはネジを使うと本体に固定可能です。

ガイドブッシュは取り付ける際に製品精度によってはミクロン単位の調整を行うため、非常に狭い隙間で材料を支える役割をして、たわみや振動の発生を抑えながら、材料が回転できるようになっています。さらに主軸のZ方向への移動に合わせて、材料がZ軸方向に出入り可能です。そのため、主軸の回転と同期してガイドブッシュも回転する機能を備えている機械が主流となっています。

また、自動旋盤によっては、加工条件に合わせてガイドブッシュを使用しなくても加工を行える、ガイドブッシュ着脱可能な機種 (ガイドブッシュレス機) もあります。ガイドブッシュを用いる機構はどうしても主軸コレットチャックからガイドブッシュまでの距離(長さ)の端材が出てしまいますが、ガイドブッシュが無い機構であれば材料をなるべく最後まで使える経済性にあります。

ガイドブッシュの選び方

使用できるガイドブッシュの形状や大きさ、取り付け方法等は、自動旋盤のメーカーごとに異なります。ガイドブッシュの選択では、まず自社で使用している自動旋盤に取り付け可能な製品の中から選択しなければなりません。

材料の外径とガイドブッシュの内径の差が小さいほど、たわみや振動を防ぎやすくなるため、材料の外径に合わせてガイドブッシュの内径を選びます。

また、材料の表面状態に応じて、ガイドブッシュの素材や表面処理を選ぶことが大切です。例えば、ステンレス鋼やチタン合金などの硬い素材を加工する場合は、超硬付きガイドブッシュなどの耐摩耗性の高いガイドブッシュを選ぶと良いでしょう。

本記事はガイドブッシュを製造・販売する株式会社CJVインターナショナル様に監修を頂きました。

株式会社CJVインターナショナルの会社概要はこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です