ネジ加工とは
ネジ加工とは、ネジの特徴であるネジ山を形成する工程のことです。
ネジは大別すると、おネジとめネジが存在します。おネジとは、一般的な棒状のネジのことで、対になるめネジは、棒状の内部にネジ山を加工したものです。組み合わせは、ボルトとナットの関係と同様に、おネジとめネジの間で決まります。
おネジの加工には、切削を用いた旋盤やネジ切り盤などの手法があり、また、転造加工という塑性加工による方法も有名です。一方、めネジの加工は「タップ加工」と呼ばれ、これもおネジと同様に、切削方式と塑性加工方式が存在します。
機械部品や建築材料など、日々の生活のあらゆる場面で使用されるネジが作られています。ネジ加工の技術を理解することは、生活を支える基礎技術への理解を深めることにつながるでしょう。
ネジ加工の使用用途
ネジ加工は機械部品の製作に不可欠な工程で、その形状は三角ネジ、角ネジ、台形ネジと多岐にわたります。しかし、三角ネジが一般的に機械部品として最も多く利用されることで有名です。
ネジの規格には多くのものが存在しますが、メートル並目ネジが最も広く用いられます。外径とピッチ (隣り合うネジ山の間隔) により特徴づけられ、例えば外径が5mmのメートルネジは「M5」と表されます。ネジ加工の手法は、製造量によって変わり、少数製造の場合、おネジはダイスとダイスハンドル、めネジはタップとタップハンドルという専用の工具を使用可能です。
工具は、ネジ山を規格に合わせて精密に加工します。大量製造の際には、旋盤やネジ切り盤などの切削加工機械や転造加工の塑性加工が主に用いられます。
ネジ加工の原理
ネジ加工の基本的な原理は、材料に対して回転と進行動作を同時に行いながら、特定の形状 (ネジ山) を作り出すことです。
ネジ加工は大きく分けて2つの方法があります。
1. 切削による方法
金属材料を削り取りながらネジ山を作り出すものです。切削工具 (例えばダイスやタップ) は材料の表面に対して相対的に動き、その間にネジ山を作り出します。
2. 塑性加工による方法
金属材料を変形させてネジ山を作り出すものです。形状が既に決められた金型を用いて、材料をプレスすることでネジ山を形成することが可能です。塑性加工の方法は、大量のネジを一度に製造するのに適しています。
おネジとめネジの両方がこの加工方法で製造されますが、それぞれ異なる工具が用いられ、おネジを作る際は、ダイスという工具を使用し、一方、めネジを作る時はタップという工具が使用されます。
ネジ加工の種類
塑性加工や切削加工により、ネジ山は製造されます。
1. 塑性加工
塑性加工とは、切削くずを出さない加工です。ネジ山を作る加工を転造と言います。その転造の方式には、平らな工具を使う平ダイス転造、丸い2つ工具の間でネジを転造する丸ダイス転造、中心ダイスと外周ダイスの内側で転造加工するセグメントダイス転造などがあります。
金型費用と金型の設計・作成の時間および金型のセッティングに時間がかかることが、転造の短所です。また、鍛造金型によりネジ山を加工する場合もあります。転造加工に比べ、ネジの精度は劣りますが、鍛造後に切削加工を組み合わせて使用します。
2. 切削加工
切削加工は、1台の旋盤で多種類のネジを作ることができますが、大量生産には向きません。おねじを作る時は金属の外側を削るねじ切りバイトを用いた外径ねじ切り旋削で、めねじを作る時は金属の内側を削るネジ切りバイトを用いた内径ねじ切り旋削で行います。
最近は、全ての切削加工を全自動で実施するNC旋盤が主流です。ネジ切り盤は、ねじ切り加工に特化した機械で、橋などの大型建物に埋め込まれる建築用のアンカーボルトや配管の固定用ボルトなどに使用されます。
切削くずが大量に出ること、刃物を使用するのでコストがかかり、刃替え時間も必要となることが短所です。