硝酸カリウム

硝酸カリウムとは

硝酸カリウム (英: Potassium nitrate) とは、無色のイオン結晶粉末です。

カリウムの硝酸塩で、化学式はKNO3、分子量は101.10、CAS登録番号は7757-79-1です。英語では、石の塩を意味するsaltpetreとも呼ばれ、 天然では硝石として存在しています。

硝酸カリウムの使用用途

1. 酸化剤

硝酸カリウムは特に「黒色火薬」の酸化剤として古くから使われてきましたが、銃火器向けとしては無煙火薬のコルダイトなどに置き換わっています。酸化剤としてはその他に、「マッチ」「花火」「ロケットの推進剤」などに使用されています。

2. 食品添加物

食品分野では「食肉の発色剤および防腐剤」として使われています。また、チーズ製造の際に「発酵調整剤」として使用されることがあります。

3. 肥料

硝酸カリウムは肥料としても幅広く利用されており、カリウムと窒素の供給源として水耕栽培などで使用されています。塩素ナトリウム、その他の植物に有害な成分が含まれておらず、塩化物に敏感な作物には特に必要とされます。

4. その他

他にも「強化ガラス」「医薬品」「太陽光発電などの蓄熱媒体」「釉薬」「熱処理剤」「寒剤」「歯の研磨剤」など、幅広い用途に使用されています。また、歯の過敏症を抑える目的で歯磨き粉に硝酸カリウムが含まれている場合もあります。

硝酸カリウムの性質

1. 物理的特性

硝酸カリウムの融点は333~334℃、沸点 (分解温度) が400℃で、密度/相対密度が2.1です。熱水によく溶けて水溶液は中性を示しますが、水の温度が下がるにつれ溶けにくくなります。硝酸カリウムは、無水アルコールには難溶ですがグリセロールには可溶といった性質ももちます。

2. その他の特徴

融点である339℃以上に熱すると、酸素を出して亜硝酸カリウムに変化します。また、強力な酸化剤であるため他の有機化合物と反応すると爆発する可能性があります。カリウムの炎色反応を示すため、可燃物と混合して燃焼させると、ピンクから紫色の炎を上げます。

硝酸カリウムの構造

硝酸カリウムはカリウムカチオンのK+と硝酸アニオンNO3– から構成されており、結晶は室温で斜方晶系柱状晶となります。硝酸カリウムの結晶は、128°Cで三方晶系に変化し、200°Cから冷却すると、124°Cから100°Cの間で別の三方晶相が形成されます。硝酸カリウムの室温構造では、各カリウムイオンは6つの硝酸イオンに、各硝酸イオンは6つのカリウムイオンにそれぞれ囲まれています。

硝酸カリウムのその他情報

1. 硝酸カリウムの製法

硝酸カリウムは硝酸水酸化カリウムや炭酸カリウムで中和し、生成した溶液を蒸発させる方法によって析出します。また、塩化カリウムと濃硝酸を反応させることで、硝酸カリウムを生成する方法もあります。工業的には、チリの砂漠で多く産出される硝酸ナトリウム結晶石 (チリ硝石) を原料に、塩化カリウム (KCl) と反応させ硝酸カリウム水溶液を得て、製造されています。

2. 法規情報

毒物及び劇物取締法で指定はありませんが、労働安全衛生法で「危険物・酸化性の物」に指定されており、取り扱いには注意が必要です。消防法では、危険物第1類 (酸化性固体) の硝酸塩類に、水質汚濁防止法で施行令第2条有害物質に指定されています。

3. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密栓し、冷暗所に保管する。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 可燃物と混合すると容易に発火するため、熱や可燃物から遠ざけて使用、保管する。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡を着用する。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 皮膚に付着した場合は、石鹸と水で洗い流す。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/7757-79-1.html

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