ポリプロピレン

ポリプロピレンとは

ポリプロピレン

ポリプロピレンとは、プロピレン (分子式: C3H6、構造式: CH2=CH-CH3 ) を重合して合成するプラスチックで、汎用樹脂の1種です。

ポリプロピレンは、1954年にイタリアのNatta氏がZiegler-Natta触媒というチタン系の有機金属化合物を用いて合成できることを発見しました。日本では1962年に工業的な量産が始まっています。

汎用樹脂の中でも、ポリプロピレンの低コストで製造が可能で、ポリエチレンに次ぐ生産量となっています。比重が0.9と小さく、傷が付きにくく丈夫で耐薬品性に優れているのが特徴です。包装材料や食品容器などの家庭用資材をはじめ、自動車用品や医療用品などに至るまで幅広い用途で用いられています。

ポリプロピレンはガラス転移点、あるいは融点以上に加熱すると軟化する「熱可塑性樹脂」に分類され、JIS記号ではPPと表記されるプラスチックです。

ポリプロピレンの使用用途

ポリプロピレンはその特徴を生かし、非常に幅広い用途で活用されています。

1. 食品容器

代表的な用途として、食品容器が挙げられます。ポリプロピレンは、結晶性樹脂であるため耐熱性が高く、かつ誘電率が低いため電子レンジで高周波にさらされても発熱しない特徴があります。その特徴を活かし、汎用の食品容器にとどまらず、繰り返し使用する食材保管用タッパーにも用いられています。

2. 自動車用途

次に注目されているのが、自動車用途です。比重が小さく、強度も強いことから従来金属材料が用いられていたバンパーやランプハウジングにポリプロピレンが使われ始めています。今後、電気自動車への置き換わりにより、軽量なポリプロピレン製自動車部品の開発が加速されるといわれています。

3. 理化学機器・医療機器

ポリプロピレンは、炭素と水素のみから成る非極性の高分子であるため有機溶剤や酸、アルカリへ優れた耐性を有します。したがって、溶剤に触れる実験機器や計測機器、医療分野における注射器のシリンジなどに活用されています。

4. 医療やカーペットの繊維

ポリプロピレンは前述したとおり非極性のため、染色性や印刷性に劣りますが、近年は表面処理などの技術進歩によりそれが可能となり、速乾性素材として採用されることが増えてきています。

ポリプロピレンの性質

ポリプロピレンは、容易に結晶化することが可能で、優れた耐熱性と機械的強度を持っています。成形品の表面硬度は高く、簡単には傷つきません。ガラス繊維やフィラーを配合することで所望の強度を持つグレードにするとも可能です。

耐水性は0.01%と低く、食品容器やパイプなど長期間水にさらされる用途にも使用可能です。一方で、いくつかの欠点も有しています。1つ目に挙げられるのが接着性や印刷性の低さです。非極性樹脂であるため極性の接着剤との相性が悪く、インクに対する濡れ性も良くありません。

これらを改善するには表面に微細な凹凸形状を付与する、化学的に変性させて官能基を設けるなどの下地処理が必要になってきます。2つ目に挙げられるのが耐候性の低さです。

ポリプロピレンは紫外線に曝されると劣化や酸化が引き起こされ、機械的強度の低下や白化を招きます。ただし、紫外線吸収剤や酸化防止剤を添加することで欠点を補えます。

ポリプロピレンのその他情報

ポリプロピレンの成形方法

ポリプロピレンは熱可塑性樹脂であるため、融点以上に加熱すると流動化します。成形方法は射出成型、押出成形、ブロー成型、真空成型など多岐にわたります。金型を用いた射出成型では、他の方法に比べ安価に製品を量産することが可能です。

ポリプロピレンは容易に結晶化するため、平らな成型物を得たい場合には性能上問題ない箇所にリブを立てるか、金型の昇温、冷却条件に注意を要します。押出成形やプレス成型などで製作したポリプロピレン板の曲げ加工や切削加工も容易で、色々な形状を持つ部品製造が可能です。

近年は、金型を必要としない3Dプリンター用の材料としても活用されています。

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