ウェアラブル端末

ウェアラブル端末とは

ウェアラブル端末とは、リストバンドを使って腕に巻きつけるなどして身に着けて使用する情報端末です。

個人利用を目的とした製品と、物流倉庫での作業などの産業利用を目的とした製品に分けられますが、ここでは主に産業用のウェアラブル端末について説明します。

ウェアラブル端末の使用用途

日常的に多量の商品を取り扱う物流倉庫では、バーコードスキャナと通信機能、そして小型の操作ディスプレイが一体となった、Windows CEベースで動くハンディ端末が広く利用されています。

各店舗に配送に向かうトラックドライバーは、物流倉庫に到着するとその日に積み込む商品のリストをハンディ端末に読み込み、積み込み商品のバーコードを一品ずつ読み取りながら、積み込み検品を行います。ドライバーは積み込み検品が完了した時点で積み込み完了をハンディ端末を使って報告し、配送に出発します。

ウェアラブル端末はこの作業をより細かくサポートすることが可能になります。例えば欠品があった場合に、その商品の所在を追跡したり、作業状況を自動的に逐次アップロードすることが可能になります。

ワイヤレス通信機能を持ったウェアラブル端末とハンズフリーのバーコードリーダーをBluetoothでつないで使用することで、両手が常に使用できるので商品の移動作業がよりスムーズになります。

また、ヘッドマウントディスプレイを利用した産業用のウェアラブル端末は、製造現場や建設現場などで、作業者への情報支援のために使用されます。特殊な作業現場においては、作業者の安全確保と健康状態を監視するためにウェアラブル端末が使用されています。

ウェアラブル端末の原理

ウェアラブル端末は、リストバンドやグローブ、ゴーグルやヘルメットの風防などを使用することで身に着けられる情報端末です。ハンズフリーでの作業支援やリアルタイムでの情報共有、リモートサポートなどに利用されています。

身に着けるタイプのデバイスであること以外に共通の原理はありません。しかし、Android OSのように広く普及しているOSを使用することや、短距離通信において標準的なBluetoothを搭載するなどして他の情報通信機器との連携を築き、より広範囲でリアルタイムな情報処理が可能になっています。

例えば、スマートフォンとBluetoothで繋がることで、遠隔地においてもデータセンターと情報をやり取りすることが可能になります。また、産業用のウェアラブル端末は、作業現場での耐久性やグローブ着用での使用などを考慮して、個人使用のウェアラブル端末と比較して、武骨で大柄な端末が多いと言えます。

ウェアラブル端末の種類

個人利用を目的としたウェアラブル端末は、スマートウォッチに代表されるように、時計機能の他、血圧や脈拍数、血中酸素濃度を測定する健康管理機能、スマートフォンとの連携で使用する電子決済機能などを持った多機能情報端末です。

一方、産業用のウェアラブル端末は、身に着けて持ち運べることで両手を他の作業に使えるほか、置忘れによる紛失や落下による破損などを防げる小型の情報端末です。リストバンドがついたケースに入った5インチほどのディスプレイを持ったアンドロイド端末や、グローブと一体となったハンズフリーのバーコードリーダー、ヘッドマウントディスプレイ (HDM) やスマートグラスを利用したもの等が登場してきています。

これらのウェアラブル端末は手で持ち運ぶ必要がないので作業者の負担が少なく、それでいて細かな情報のやり取りがしやすくなるメリットがあります。今後、ウェアラブル端末は既存の情報端末を置き換える形で、その活用範囲が広がると予想されています。

ウェアラブル端末の選び方

ウェアラブル端末の選択に当たっては、現場作業者にスムースに受け入れてもらうためにも、個々の機器の仕様の検討以上に作業現場での運用方法などシステム全体を見渡した検討をお薦めします。

産業用に導入する際には、作業の合理化と生産性の向上を目的として導入することが多いと考えられます。そのような場合であっても、作業の安全性を損なうことがないように留意することが一番重要です。

その上で、作業現場の環境に適した十分な丈夫さを持っていることと、通信するデータのセキュリティの確保も考慮する必要があります。倉庫や工場内で、既存のネットワークシステムの中に組み入れて使用する場合には、そのネットワークとの互換性を保つ必要もあります。

運用の開始にあたっては、使用者へのトレーニングの他、ウェアラブル端末が壊れた場合や、ネットワークに障害が起きてシステムが使えない場合を想定した作業方法なども準備が必要です。

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