粉体コンテナとは
粉体用コンテナとは、プラントや工場で粉末状の材料や製品を保管しておくための容器です。
粉末状の材料や製品は粉粒体とも言われ、建築業界、食品業界、電機業界、金属業界、化学・薬品業界などあらゆる業界で扱われています。粉粒体をプラントや工場、倉庫の中で保管しておく容器のことを粉体コンテナと言います。
粉体コンテナは一般的には金属や樹脂でできており、上部に粉粒体を投入するための蓋があり、底部は円錐形状をした排出口を持っています。この形状からコーンバルブ式コンテナとも呼ばれています。そしてコンテナの下部には自立のための脚を持っています。
最大の役割は粉粒体材料を湿気から守りながら、異物の混入を防いだり、外部に飛散しないように保管することです。下部に弁を持ち、計量をしながら必要な量の粉粒体を排出できる装置を備えたものもあります。
粉体コンテナの使用用途
粉体コンテナは粉粒体の保管と、プラントや工場内での移動に使われています。粉粒体の材料は建設業、電気・電子部品産業、金属業、食品業を始めあらゆる産業で使われています。
- 建設業
セメント、石灰、石膏、炭酸カルシウム、シリカ、酸化鉄、アルミナなどがあります。 - 電気・電子部品産業
金属粉末、セラミックス粉末、ガラス粉末などが使用されます。 - 金属業
鉄粉、アルミニウム粉末、銅粉末、ステンレス粉末などが粉粒体材料の形で扱われる例があります。 - 食品産業
食品産業で使われる主な粉粒体材料は、小麦粉、砂糖、乳製品、ココアパウダー、デンプン類などが挙げられます。
製品によっては複数の材料の混合でできているものもあります。その場合、粉体コンテナの中に複数の材料を充填して粉体コンテナを回転や振動させて混ぜ合わせることも行われています。
粉体コンテナの原理
粉粒体を製品の材料として使用するプラントや工場の場合、多くの場合は製造に使う粉粒体の量が多くなり、手作業で扱っていると効率が悪くなります。
粉粒体材料は、船やローリー車によってプラントや工場に運び込まれます。運び込まれた粉粒体材料はホースを通って大型のサイロに保管されます。プラントで作られる製品や、使用する粉粒体材料が限定される場合には、材料はプラント内に張り巡らされたパイプの中を通って製造工程に送られます。プラントでは、極力人手を省いて自動化することで製造時間を短縮し、人件費を抑えながら大量生産します。
一方、プラントや工場で生産する製品の品種が多かったり、1ロット当たりの生産量が少ない場合、混合する材料が多い場合には、粉体コンテナを介した流通が有利になります。粉体コンテナ内で、材料を一時的に保管したり複数の材料を混合させることで、生産ラインを逐一組み替える必要がなくなります。
さらに、省力化と生産時間の短縮を実現するために、粉体コンテナは自動搬送設備によって搬送が行われる他、必要な量の材料を自動的に排出できる機構を持つもの等、付加価値を持った粉体コンテナが開発されています。粉粒体材料の供給、計量、輸送、保管、排出、混合など多くの工程で使用される重要な設備です。
粉体コンテナの種類
粉体コンテナは作られている材料の違いで分類すると、金属製コンテナ、樹脂製コンテナ、フレキシブルコンテナなどがあります。
金属製のコンテナは耐腐食性を考えてステンレスでできたものが多く、同時に強度が強く耐久性に優れており、多品種の材料に使用されています。
樹脂製のコンテナは軽量で扱いやすく、耐薬品性に優れているのが特徴です。
フレキシブルコンテナはポリエチレン (PE) やポリプロピレン (PP) でできており、折り畳みができる柔軟な材料を用いて袋状に造られ、吊り上げるためのつり部と、注入・排出ができる開口部を備えたコンテナです。工業薬品、合成樹脂、窯業土石品、飼料、食品などの輸送に利用されています。
粉体コンテナを選択する際には、材料の種類や付加機能の他に、取り扱う材料の量、運搬方法、保管場所なども考慮する必要があります。