フレキシブルシャフト

フレキシブルシャフトとは

フレキシブルシャフト

フレキシブルシャフト (英: Flexible shaft) とは、離れた2点間で回転軸が同心 (軸の長手方向の中心が同一であること) ではない場合に回転運動を伝達する柔軟性のあるシャフトです。

フレキシブルシャフトは回転軸端間で適切な曲がりを保ちながら駆動軸側から従動軸側へ回転とトルクを伝達します。

そのため機器相互の回転軸が同心である必要はなく、ある程度自由な配置が可能です。機器回転軸間の正確な芯出し (軸同士の中心位置合わせ作業) が不要で作業性が向上します。

フレキシブルシャフトの使用用途

フレキシブルシャフトの使用用途は動力伝達用や遠隔操作用があります。

  • 動力伝達用
    電動機などの動力を伝達する際に従動側軸位置が同心ではない場合に使われています。
  • 遠隔操作用
    回転機器の手動操作やバルブの開閉を遠隔で操作する場合などに用いられます。

身近な使用例として電動ドリル・ドライバーの延長用のフレキシブルビットやフレキシブルドライバー、高所窓の遠隔開閉用ハンドル、自動車のスピードメーターなどに使用されています。

フレキシブルシャフトの構造

一般的なフレキシブルシャフトは次の3つの部品で構成されています。内側のコア (インナーシャフト) 、その外側のフレキシブルチューブ (アウターチューブまたはハウジング) 、軸端の接続金具です。

1. コア

中心に1本の芯線があり、複数本の鋼線で芯線の周囲を巻き付け、巻き付ける方向を交互にして数層を重ねて製作します。コアの材質にはSW-C JIS G3521硬鋼線やSUS304WP-B JIS G4314ばね用ステンレス鋼線などを使用可能です。

一層当たりのワイヤの数、ワイヤの直径、ワイヤ層の数、ワイヤ間の間隔、材質などで特性は違います。

2. フレキシブルチューブ

軟鋼線や硬鋼線を組み合せて巻き上げています。平鋼線を巻き上げた外面に、合成ゴム、ポリエチレン、塩化ビニールのような樹脂を皮覆する場合もあります。

コアとフレキシブルチューブの隙間にはグリースなどの潤滑油が封入され、フレキシブルチューブの内面がコアの軸受けとして滑らかな回転を維持可能です。

3. 軸端部

駆動側と従動側を接続する金具です。コアに圧着 (カシメ) や溶接・ロウ付けなどで取り付けられています。

フレキシブルシャフトの原理

1. コア

コアはフレキブルシャフトの曲がった状態を維持し、回転を伝達する基幹部分です。最外層のコアの巻きによってフレキシブルシャフト自体の回転方向が決まります。最外層が左巻き (左上がり) の場合は右回転用 (時計回り CW) 、最外層が右巻き (右上がり) の場合は左回転用 (反時計回り CCW) です。

2. フレキシブルチューブ

フレキシブルチューブは埃や湿気からコアを守ります。捩じられようと回転するコアを外部から支え、自在な状態を維持します。

3. 軸端部

フレキシブルシャフトを回転軸に接続するための部品です。接続する相手側の接続方法や形状に合わせて選定する必要があります。

フレキシブルシャフトの種類

フレキシブルチューブの種類には、標準型、高トルク型、左右両用型、焼入れ型、強力型、柔軟型などがあります。

1. 標準型

鋼線をチューブ状に巻き上げ、その外面をビニールやゴムで被覆します。耐久性が高く、トルク伝達に強いです。

2. 高トルク型

平鋼線をスプリング状に巻いてチューブ状にしたライナーとその外側を編み組みされた鋼線で補強し、最外層をビニールやゴムで被覆します。ハイトルクに耐えられます。

3. 左右両用型

ドライバーの延長に使用され、構造的に逆回転にも強いです。

4. 焼入れ型

連続焼入れ炉で加熱し、焼入れ油の中を通して製造します。真直性に優れ、リモコン用に向いています。

5. 強力型

衝撃に強く、重研磨で役立ちます。

6. 柔軟型

可撓性に富んでおり、彎曲が容易です。

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