産業用タブレットとは
産業用タブレットとは、現場での作業等でも使用できるタブレットPCです。
タブレットは軽量で持ち運びやすく、一般家庭に広く普及しましたが、近年では業務効率化や生産性向上に繋げるため、各種産業界での活用事例も増えてきました。
その一方で個人用のタブレットPCとは、現場での作業で求められるスペックが大きく異なります。例えば防水、防塵、耐衝撃性などの耐久性のほか、快適な操作を実現できる高いパフォーマンスに加えて、情報流出が起こらないセキュリティの堅牢性などが求められます。
産業用タブレットの使用用途
産業用タブレットは振動や衝撃の影響がある車載端末に使用可能です。ほかにも、雨風に晒される建設現場のような屋外で用いられています。機械の製造現場や食品の加工工場を代表として、水滴や粉塵が気になる屋内でも利用可能です。
現場によって求められる性能や機能は違うため、産業用タブレットはカスタマイズされています。具体例として、水に濡れやすい場所で使うための完全防水やコーポレートカラーに合った塗装などが挙げられます。
産業用タブレットのアクセサリー類は豊富です。具体的には、用途に合わせて、クレードル、ショルダーストラップ、ハンドストラップなどを活用できます。
産業用タブレットの構造
産業用タブレットは通常のタブレットと同様に、CPUやメモリなどPCを構成するための各パーツ、タッチパネルディスプレイから構成されています。
タブレットにはWindowsなどの一般的なオペレーティング・システム (OS) が使われており、Windows 10 IoT Editionなど、企業向けのバージョンが搭載されています。
通常のOSは2〜3年程度で新たなバージョンがリリースされ、継続利用のためには更新が必要です。旧バージョンとの互換性により、従来使用していたソフトウェアやデバイスが使用できなくなるタブレットもあります。その一方で、産業用タブレットは2~3年のような比較的短い期間でアップデートされ、業務上互換性を失うことは好ましくありません。そのため産業用タブレットには、機能アップデートが必要ないOSが搭載されている場合が多いです。
産業用タブレットの選び方
産業用タブレットを選定する際には、使用する現場の環境を考慮する必要があります。
例えば工事現場や工場、屋外の現場では、粉じんや水の混入などが起こる可能性があるため、防塵、防水性能が求められます。さらに、耐寒性や耐衝撃性が求められる場合も多いだけでなく、通信環境も重要です。
倉庫などの在庫管理や輸送管理で使用する際には、業務効率化のために、自社で導入している在庫管理システムやピッキングシステムを搭載可能か確認が必要です。その他、建設現場など屋外で使用する場合には、雨天で画面が濡れたり、手袋をしている場合でも問題なくタッチ操作が行えることが求められます。
1. 防塵・防水
防塵・防水は現場でのタブレット使用で重要な機能です。一般的なタブレットPCも防水機能が備わっていますが、現場では発生する粉じん、水分の量が大きく異なるため、より高い防塵・防水機能が求められます。そのため、産業用タブレットはタブレットの周りが分厚いケースで覆われているなどの対策がされています。
2. セキュリティ
産業用タブレットには企業の生産、物流、開発計画などの重要な機密情報が保存されており、情報セキュリティ対策も必須です。しかしタブレットは持ち運びやすいため、紛失のリスクもあります。このようなリスクへの対策として、アクセス制限を設けたり、持ち出し時の記録を徹底し、ウイルス対策ソフトの導入や情報の暗号化などの対策も必要です。
3. 電波環境
屋外の現場などでは電波環境が悪い場合もあるため、オフライン環境でも報告書を作成したり、マニュアルを参照できるシステムを導入している産業用タブレットもあります。
また、オフライン環境での操作を想定している場合には、既存のソフトウェアもオフラインで動作するように、クラウドではなくローカルにデータを保存する必要があります。
4. 防爆対策
化学工場などの有機溶剤を扱う作業場や粉じんが多く発生する作業場では、電子機器が着火源となって大きな事故を引き起こす可能性があります。そのような現場でも使用できる防爆タブレットも販売されています。
防爆タブレットも他の産業用タブレットと同様に、防水、防塵機能やセキュリティ対策などの機能を有し、産業用タブレットとして現場で活用可能です。