ガラス基板とは
ガラス基板とは、用途に応じた機能が付与されたガラス製の平らな基板の総称です。
一口にガラスといってもアルカリの含有量や板厚によって種類はさまざまで、平滑性や電気的特性も一般の板ガラスとは異なります。用途もパソコンのモニターやスマートフォンのディスプレイから、太陽電池まで幅広いです。
また、ガラス繊維を布状に織ったものにエポキシ樹脂を含侵させて成形したガラスエポキシ基板というものもあります。ガラスエポキシ基板は低コストで製造が可能で、基盤上に電子部品を実装し、電子機器を作動させるための電子回路が形成されます。一般にはプリント基板とも呼ばれています。
ガラス基板の使用用途
ガラス基板は、民生用機器から産業機器に至るまでさまざまな用途で使用されています。具体的な使用用途は、以下のとおりです。
1. ディスプレイ、カバーガラス用途
私たちが日常的に使っているスマートフォンやタブレットなどのモバイル機器やカーナビのディスプレイなどにガラス基板が使われています。厚さは0.5~1.1mmと薄く、透明性と平滑性が特に求められます。
液晶テレビ用のディスプレイに使用する場合は、アルカリ成分を含有したものだと液晶材料の汚染やトランジスタ特性への影響を抑えるため、アルカリ含有率を0.1%まで抑えることが重要です。
また、タッチパネルやイメージセンサー用のカバーガラス用途もあり、これには化学薬品によって一般の5倍程度の強度を付与したガラス基板が使われています。
2. 電気・電子機器用途
パソコンやデジカメの内部にあるマザーボードなどの基板にガラスエポキシ基板が使われています。プリント基板の中でガラスエポキシ基板は最もよく使われており、電気・電子機器の安定した動作を下支えしています。
ガラス基板の原理
ディスプレイ用ガラス基板は、一般のガラスと違い、非常に高い性能が求められます。液晶や有機ELに表示される、鮮明度の高い画像や映像を正確に映し出すために、表面の凹凸を極限までなくし、平滑になるように加工されています。
また、混入する異物も視認できないほどの厳しい基準が定められています。ディスプレイの大型化と軽量化に伴って、薄さと剛性を両立するガラス基板の需要が高まってきている状況です。
ガラスエポキシ基板は、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含侵させ硬化させた材料であるため、周辺温度が変化しても寸法変化が小さいというメリットがあります。また、材質そのものが硬く、更に耐熱性や吸湿性、電気的特性にも優れていることもメリットの1つです。
製造コストは比較的安価で、さまざまな銅箔厚の材料も販売されていることから汎用性も高いです。両面基板や多層基板を作りやすく、広く電子機器などに利用されています。一方で、製造において専用の器具が必要というデメリットもあります。
ガラス基板の種類
ガラスは珪砂やソーダ、アルミナなどの無機混合物です。構成される素材の含有比率によってさまざまな種類のガラス基板を製造することができます。各種ガラス基板の特徴は、以下のとおりです。
1. 無アルカリガラス
アルカリ酸化物の含有率を0.1%に抑えたガラスで、液晶ディスプレイ用途に主に用いられています。薄肉化が可能で、薄いものでは0.3mmの厚みのガラス基板も製造されています。平滑性、耐熱性に優れています。
2. 化学強化ガラス
化学薬品によって強度を高めたガラスで、一般的なガラス基板に比べて約5倍の強度を示します。タッチパネル・光ディスク用ガラス・イメージセンサ用のカバーガラスなどにも使用されます。
3. ガラスエポキシ基板
従来、民生機器ではコストの安い紙フェノール基板や紙エポキシ基板が多用されていましたが、近年はガラスエポキシ基板がプリント基板の中でも最も広く利用されています。片面、両面基板、多層基板のいずれもガラスエポキシ基板がそのほとんどを占めています。
4. テフロン基板
ガラス布にポリテトラヒドロフラン (PTFE) 樹脂を含侵させて製造したプリント基板です。フッ素樹脂は比誘電率が低いため、高周波特性に優れています。