メスフラスコとは
図1. メスフラスコの模式図
メスフラスコとは、全量フラスコとも呼ばれ、実験のためのガラス器具の一種です。メスシリンダーと同様に液体の体積を計測し、一定にする際に使われ、メスシリンダーと比べて測定の精度が高いことが特徴です。
メスフラスコの材質は、プラスチックや樹脂でできたものもありますが、一般的にはガラスでできており、形状は、底が平らで球状になった部分から、胴部分が細長い円筒上に伸びた形になっています(図1参照)。開口部分を栓で塞ぐことで封をすることが可能です。また、色は、無色透明なタイプから、茶フラスコと呼ばれる褐色透明なものもあります。
メスフラスコの使用用途
メスフラスコは、溶液を一定の体積に定容するために使用します。
一般的には無色透明のメスフラスコを用い、実験に取り扱う物質に遮光が求められる場合は、褐色透明の茶フラスコと呼ばれるメスフラスコを用います。このような褐色のメスフラスコは、例えば硝酸銀水溶液のように、光と反応して着色する成分を使用する場合に用います。液体の出し入れが容易なように円筒部分が太くなっているものなど、用途によって形状のバリエーションが豊富です。
メスフラスコの原理
一般に、メスフラスコは、液体の体積を一定にするために用いられ、溶液の濃度を一定にしたい場合などに使われていますが、同じ用途で用いられるメスシリンダーと比べて、測定の精度が高い事が特徴の一つです。
その理由としては、細長い円筒状になっている首部分に測定に用いる標線と呼ばれる目盛りが入っているため、径が細く、目盛りの精度が高くなっており、そのため誤差が小さくなることが挙げられます。
目盛りは、20度の水を測定した場合を基準として、メスフラスコ内に入っている溶質の体積を示しており、壁面にかかれたTCという単語は受用の英略であり、標線まで加えた液量が表示されている体積と同じことを意味しています。測定するサイズに対して、容量公差と呼ばれる測定誤差が決められており、表記の誤差の範囲内で定量する事ができます。
メスフラスコのその他情報
メスフラスコとメスシリンダーの違い
図2. メスシリンダーの模式図
両者はどちらもガラス製の実験器具であり、液体の体積を測定するという意味では似ていますが、その用途と特徴には違いがあります。
メスフラスコには規定体積があり、例えば100mlのメスフラスコの場合は、液体成分を規定体積である100mlに希釈する場合に用います。言い換えると、『特定濃度の液体を、規定体積まで正確に定容するための器具』であるといえます。一方でメスシリンダーの場合は、その形状からわかるように筒型の本体に目盛りがふられており、流入した液体成分の量を目盛りから読み取ります(図2参照)。そのため、メスシリンダーは『液体の体積を測定するためのガラス器具』であり、その用途はメスフラスコとは異なります。