PEフィルム

PEフィルムとは

PEフィルムとは、結晶性熱可塑性樹脂であるポリエチレンで作られたフィルムのことです。

ポリエチレンフィルム (英: Polyethylene Film) とも呼ばれます。ポリエチレンはエチレンの高重合体で、世界で最も多く使用されている汎用樹脂です。1950年頃にドイツのカール・ツィーグラー (英: Karl Ziegler) とジュリオ・ナッタ (英: Giulio Natta) がチーグラー・ナッタ触媒 (英: Ziegler-Natta catalyst) を使って合成し、高性能のポリエチレンを安価に開発する方法が確立されたため世界的にプラスチック素材が広まりました。

ポリエチレンの種類には、直鎖状低密度ポリエチレン (LLDPE) 、超低密度ポリエチレン (VLDPE) 、低密度ポリエチレン (LDPE) 、高密度ポリエチレン (HDPE) 、超高分子ポリエチレン (UHMW-PE) などがあります。

ポリエチレンは加工しやすくて安価で、大量消費が予想される素材に適しています。耐熱性と機械的強度が非常に高いスーパーエンプラ (英: super engineering plastic) として期待されており、超高分子量で配合すると耐衝撃性や機械的特性が高いです。

PEフィルムの使用用途

ポリエチレンはポリスチレンや塩化ビニールとともに3大プラスチックに数えられ、その中でもポリエチレンが最も使用されています。プラスチック素材の中で最も化学構造がシンプルで最も汎用性が高く、使用用途に合わせて柔軟に利用可能です。

具体的にはLLDPEやLDPEは透明性があるため食品袋やラップフィルムなどの薄く引き伸ばしたプラスチック梱包材に使われます。主に工業製品の包装に広く利用され、水、傷、埃から守ったり、緩衝材に使用可能です。電気的性質が優れているため、軍事用レーダーにも使われていたこともありました。その一方でHDPEは建築部材の排水管などに、UHMW-PEは医療システム機器や防弾チョッキに用いられています。

PEフィルムは他の下地工事材と比較して使用量は少ないですが、壁下防水用、屋根、床下湿気止め、土間下などにも使われています。日本は米国に次ぐ世界第2位のポリエチレンの生産力を持っており、技術水準も高いです。電気の絶縁が良いため電線の被覆や海底ケーブルにも用いられます。

PEフィルムの性質

耐薬品性が高く、絶縁性、耐油性、防水性に優れています。安価で加工しやすく、大量生産される製品に適しています。寒さに強いため-20°C程度まで耐えられますが、熱や火には弱いため容易に燃える場合が多いです。

接着性は悪いですが、​​吸水性がほとんどなく防水性が高く、比重が小さいため水に浮きます。電気絶縁性が高く、ほとんど電気を通しません。

PEフィルムの種類

ポリエチレンは密度によってLDPEやHDPEに分類されます。

LDPEは高圧法で生成したポリエチレンで、枝分かれが多くて結晶化度は数十%程度であり、比重は0.91〜0.92です。透明度は良いですが、機械的強度は低く、軟化点は100°C前後です。HDPEは低圧法で生成したポリエチレンで、枝分かれが少なく、結晶化度が95%に達します。比重は0.92〜0.96で、荷重たわみ温度は130°C以下です。耐候性、加工性、透明性はやや低いですが、耐熱性、強さ、硬さはLDPEより高いです。

ポリエチレンにはVLDPE、LLDPE、UHMW-PEもあります。VLDPEの比重は0.9以下、LLDPEの比重は0.94以下で、UHMW-PEの分子量は150万以上です。

PEフィルムの構造

ポリエチレンはエチレンが重合したシンプルな構造の高分子で、基本的にはメチレンが繰り返されています。重合法や分子量によって構造の異なるポリエチレンを合成でき、機械的特性や密度も違います。1976年にウォルター・カミンスキー (英: Walter Kaminsky) がメタロセン触媒 (英: Metallocene Catalyst) を開発し、ポリエチレンの分子量などの制御が可能になりました。

PEフィルムの選び方

PEフィルムは梱包用ストレッチフィルム、延伸PEフィルム、無延伸PEフィルムの3種類に分類可能です。ストレッチフィルムには手巻き用、機械巻き用、着色タイプ、小巻用、牧草梱包用などの種類があり、延伸PEフィルムにはヒートシール性の有無のほか、単層用、内層用、コア層用、外層用があります。無延伸PEフィルムは産業用、包装用、保護用などに分けられます。

無延伸PEフィルムは使用用途によってタイプを選択可能です。例えば産業用フィルムにはストレッチホードフィルム、粘着フィルム、保護フィルム、離型フィルム、熱収縮フィルム、防錆フィルムがあります。

包装用フィルムの具体例は油包装用、ティッシュ包装用、ポテトチップス包装用、歯磨き剤包装用、米包装用、粉末包装用、液体包装用、アルミ蒸着用、農薬包装用などです。保護用フィルムにはプラスチック板用、電器表面保護用、アクリル板保護用、ドア保護用、ステンレス鋼保護用、窓ガラス保護用、絨毯保護用、シート保護用、家具保護用などがあります。

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