コンクリート試験

コンクリート試験とは

コンクリート試験とは、コンクリートの性能や品質を評価するために行う試験です。

コンクリートは建物や道路、橋などを建造する際に最も広く使用されている部材です。セメントに砂や砂利からなる骨材と、水、添加剤を混ぜて固めながら形を作ります。必要な強度や耐久性を持ち合わせていなければ、強度と安全性を保つことができないためコンクリート試験を実施して性能と品質を確認します。

コンクリート試験の使用用途

コンクリート試験は、コンクリートの性能評価、品質管理、施工性の評価などのために用いられます。また、日本を始め各国では建築に使用するコンクリートに対して、法律で試験の実施を定めている国が多く、各国でそれぞれに定める内容に従った試験が実施されています。

性能評価試験では、物理的特性や耐久性を評価し、設計要件を満たしているかどうかを判断します。固められたコンクリート片を用いて、圧縮強度、曲げ強度、耐久性、伸び、収縮、密度などの試験が行われます。

品質管理を目的に行われる試験では、コンクリートの中に含まれる物質の種類や含有率を調査します。

法律に定められた試験の実施では、日本の場合には建築基準法とそれに関連した施行令によって、日本工業規格JISA1108 (コンクリートの圧縮強度試験方法) と日本工業規格JISA1107 (コンクリートからのコア及びはりの切取り方法及び強度試験) に基づいた試験が義務付けられています。

コンクリート試験の原理

コンクリート試験の代表的なものに、圧縮強度試験と、耐久性に関する試験があります。

1. 圧縮強度試験

圧縮強度試験は、コンクリートがどれだけの力に耐えられるかを測定するための試験です。円柱状のコンクリート試験体の上下端面に圧縮力を加えて、どこまで耐えられるか調査するアムスラー式圧縮試験によって行われます。

2. 耐久性に関する試験

コンクリートの耐久性を調べる試験方法には、凍結融解試験、塩分浸透試験、促進中性化試験、アルカリシリカ反応性試験などがあります。アルカリシリカ反応試験は、コンクリート中のアルカリ分 (ナトリウムおよびカリウム) と、骨材中の反応性鉱物などとの化学反応であるアルカリシリカ反応 (ASR) によるコンクリートの膨張性を調べるために行われます。この試験により将来アルカリシリカ反応によって劣化する可能性の有無を判定することができます。

3. 引張強度試験

引張強度試験はコンクリートの引張強度を評価するための試験です。ポーズ強度試験はコンクリートの曲げ強度の評価のための試験です。透水性試験ではコンクリートの透水性を評価します。

コンクリート試験の種類

主に建設現場などで工場から運び込まれたばかりの固まる前の生コンクリートに対して行う受入検査と、工場や研究所等で、固めた後のコンクリートのサンプルを対象に行う強度、耐久性試験などに大別できます。

1. 受入検査

受入検査は、ミキサー車によってコンクリート工場から建設現場に持ち込まれた生コンクリートを対象に行う使用直前の検査です。生コンクリートは時間と共に特性が変化するので、時間管理が非常に重要になります。受入検査を実施して、品質上の問題が無ければ、その生コンクリートを素早く使用 (打設) します。

受入検査時では、生コンクリートを所定の型枠に詰めて平板の上に置いた後、型枠を取り外した後にその高さが何cm低くなるかを測定するスランプ試験を実施します、その他には空気量試験や温度測定などを実施します。また、この時に同時に採取したコンクリートが強度試験に廻されます。

2. 強度、耐久性試験

強度、耐久性試験は、使用前のコンクリートの成分の配合を決めたり、前述の建設現場から持ち帰ったコンクリートの強度を確認するために行う試験です。中に含まれるセメントや骨材、水、添加剤などによって強度や耐久性が変化します。コンクリート中に含まれる塩分は、コンクリートと一緒に構造物に使用されることが多い鉄筋の腐食に影響を与えます。

コンクリート試験の選び方

コンクリートは現在の土木・建築において最も重要な部材です。コンクリートに関する試験では、様々な試験項目があり、それぞれにいくつかの試験方法があります。建設関連の会社や大学、専門機関などの外部に委託する場合には、必要な試験項目や範囲を明確に定義することが重要です。その上で必要とする試験を、委託先が提供できるかを確認します。

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