引張コイルばね

引張コイルばねとは

引張コイルばね

引張コイルばね (引張ばね、引きばね) とは、主に引っ張る力をかけることで伸縮する特性を持つばねです。

長いワイヤーをらせん状に巻くことで作られるばねの一種で、圧縮コイルばねに次いで使用されています。コイル間のすき間がない密着巻きなので、比較的小さな空間に強力な引っ張り力を提供する能力があります。

これにより、限られたスペースで大きな力を伝達することが可能です。また、ワイヤーの太さやコイルの直径などを変えることでさまざまな形状にカスタマイズ可能で、異なる用途に適した設計を行えます。

ただし、主に引っ張る力に対する反応を持っていますが、圧縮方向への耐性は限られています。誤った方向の力をかけると変形や破損のリスクがあるため、適切な方向に使用しなければなりません。その他、素材の性質や弾性限界を考慮することも重要です。

引張コイルばねの使用用途

引張コイルばねは、その強力な引っ張り力を活用してさまざまな用途で使用されています。以下は引張コイルばねの使用用途です。

1. バイク・自転車

バイクや自転車のサイドスタンドは、車両を停車した際に安定させるための部品です。一部のサイドスタンドには、スタンドを上げた状態でスタンドを収納するための機構があります。この収納操作をスムーズに行うために引張コイルばねが使用されることが多いです。

2. 家庭用品

引張コイルばねは家電製品や家具の引き出しなどで使用されます。これにより、ドアや引き出しが閉まる際のエネルギーを蓄え、スムーズな動作をサポートします。また、ソファやベッドの機構にも利用され、これによってリクライニングや展開の動作が可能です。

3. スポーツ用具・おもちゃ

スポーツ用具やフィットネス機器において、引張コイルばねは特定の機能を制御するために使用されます。トレーニング機器の調整部分や、スポーツ用具の可動部分の制御に利用されることが多いです。エキスパンダーなどのトレーニング用具が応用用途の一例です。

また、おもちゃや模型の動作部分に使用されることもあります。飛行機や乗り物の模型の展開機構に利用されることが多いです。

引張コイルばねの原理

引張コイルばねの原理は、ワイヤーがらせん状に巻かれていることによる弾性変形の特性に基づいています。引っ張る力に対する反応を持ち、その特性に紐づく原理は弾性変形とフックの法則です。引張コイルばねは外部から引っ張る力がかかると、ワイヤーが伸びて変形します。

この変形は一時的なもので、外部の力が取り除かれるとばねは元の形状に戻ろうとします。この挙動が弾性変形です。弾性変形はフックの法則に従います。

フックの法則は、ばねにかかる力は変位に比例するという関係を示す原理です。変位とばね定数を掛け合わせることで蓄えられる力を求めることが可能です。引張コイルばねは材料の弾性限界を超えない限り、繰り返し弾性変形を行うことができます。

ただし、弾性限界を超えると永久変形や破壊が発生する可能性があります。材料の選択や設計においては、弾性限界を考慮しながら適切な材料を選ぶことが重要です。

引張コイルばねの選び方

引張コイルばねを選ぶ際には、いくつかの要因を考慮する必要があります。

1. 材質

引張コイルばねの材質は、ばねの強度や耐久性に影響を与えます。一般的に使用される材質は鋼やステンレス鋼などです。選択する材質は、ばねが受ける負荷や環境条件に応じて選ぶ必要があります。

2. ばね定数

ばね定数は、ばねの変位と力に関係する係数です。ばね定数が大きいほど、同じ変位に対してより大きな力が生じます。用途に応じて必要なテンションや変位を考慮し、適切なばね定数を選ぶことが必要です。

3. 先端の形状

引張コイルばねの先端の形状は、取り付けや応用に影響を与えます。フック形状の先端は取り付けが容易ですが、特定の用途にはボール状などが適している場合もあります。先端形状を選ぶ際には、取り付け方法や作用する部品との相互作用を考慮することが重要です。

4. 自由長

自由長とは、ばねが無負荷状態での長さを指します。用途によって必要なばねの長さが異なるため、自由長を選ぶ際には、設計寸法や組み込むスペースを考慮します。過度に圧縮または伸長させることなく、適切な自由長を選ぶことが重要です。

参考文献
https://www.fusehatsu.co.jp/product/product-02.html
https://www.fusehatsu.co.jp/technology/sekkei/hiki.html

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