OAフロアとは
OAフロア(英語:Raised floor)とは、床下に一定の高さの空間を設け、床を二重化したフロアのことです。乱雑になりがちなネットワーク配線などを床下空間に通すことを目的としています。フリーアクセスフロアや二重床とも呼ばれています。
OAとはオフィスオートメーションという意味を持ち、オフィスのほか商業施設、工場、学校などで使われるコンピュータをはじめ、各種OA機器を使用することを言います。
OAフロアは机やキャビネットなどの配置に影響がないため、後からでも配線変更が容易になります。また、人の通行や椅子の移動による配線類の損傷や危険性を未然に防ぐことができます。さらに、美観の向上や清掃がしやすくなるなど、OAフロアのメリットは多いです。
OAフロアの使用用途
OAフロアは、事務所などのオフィスをはじめ、工場・商業施設・学校などにおける、多数のパソコンやサーバー、プリンター、ネットワーク機器、電話、映像機器などの電子機器が使用される場所に設置されます。
かつては、大企業などの大きな組織における大型コンピュータを設置するコンピュータルームでOAフロアは用いられていました。しかし昨今では、パソコン・それに付随するその他OA機器の増加、LANやイーサネットといったネットワーク環境の普及により、オフィスの規模に関わらず一般的に用いられています。
設置にあたっては必要とする配線の本数や荷重についての事前見積もりが重要です。 また設置後は床を開かないと配線の経路を目で追えないため、配線末端に整理番号や行き先を付けたタグ等を取り付け、図面や管理簿に記録しておく必要があります。
OAフロアの原理
OAフロアは、構造により「置き敷き型」と「支柱分離型」の2種類に大別できます。また、配線方式は「パネル下配線方式」と「溝配線方式」の2種類に大別できます。
1. 置き敷き型
置き敷き型は、支柱とパネルが一体となったブロックを敷き詰めるタイプです。樹脂製が主流で現場での加工も比較的容易に行えて、部材そのものも安価なのでコスト面で有利です。このタイプは床の高さが固定となるため、後で変更することはできません。
高さ調整の自由度が制限されることから、建物の床スラブに高低差があり平面になっていない場所への設置は本来不向きですが、スペーサを用いて高さを調整できる製品も存在します。素材由来である耐荷重の問題から、重量物の設置に不向きであると言えます。
2. 支柱分離型
支柱分離型は、床の上に支柱を立てその上に板状のパネルを乗せるタイプです。高さを自在に調整でき耐荷重に優れています。床を構成するパネルと、高さを決める脚にあたる支柱が、それぞれ独立した部材になっており、また支柱の高さが調整できるので床の高さ調整が自在にできます。
したがって、建物の床に段差や高低差がある場所への対応に適しています。そしてパネルに用いる素材は金属製品が主流なので、重量物の設置に向いています。また、パネルの中にモルタルが充填されている製品もあり、これにより遮熱性や遮音性を高めることができます。
3. パネル下配線方式
パネル下配線方式は、支柱や脚の間の空洞部分に収納する方法で、配線収納容量が大きく、配線の自由度が高いというメリットがあります。支柱分離型の場合は、支柱高さを高くすれば、さらに収納容量を増やせます。デメリットは混触が発生する可能性があることです。
4. 溝配線方式
溝配線方式は、パネルの溝に沿って配線をし、上からカバーをかぶせて配線を保護する方法です。配線の変更や増設がしやすいメリットがあります。配線収納容量は小さいが、溝に沿って整然と配線するため混触を防止することができます。配線数が少ない場合や、レイアウト変更・増床の予定がある場合には、溝配線方式が適しています。
OAフロアのその他情報
OAフロアのメリット・デメリット
メリット
- 見た目がすっきりし、仕事の効率が上がります。
- 配線の取り出し口を変更できるので机やパソコンのレイアウト変更も自由にできます。
- 足が配線に引っかかって転倒したり、配線の断線などでデータエラーになるトラブルが減少します。
- 床の掃除が容易になります。
デメリット
- 置き敷き型のOAフロアは、耐荷重に制限があり、重量機器に制約があります。また、高さ調節ができないので、傾斜がある床には不向きです。
- 支柱分離型のOAフロアは、金属製部品の重量が重く、施工性や建物の耐荷重に問題が出る可能性があります。
- 使用する機材によっては、耐久性や歩行感が不良になる可能性があります。試験などでの確認が重要です。
参考文献
https://stepline.co.jp/knowledge-oa.html
https://www.inoac-juukan.co.jp/product/product_spec?pageid=1080102